マイクロファイナンスとは、お金を貸すということです。
なぜマイクロファイナンスは成功したのでしょうか?
見ていきます。
貧しい人々の暮らし
まず、インドなどに住んでいる貧しい人々は、野菜や果物を売ってお金を稼いでいます。
農家から野菜や果物を買って、それを都市部に持って行って売るのです。
しかし、野菜や果物を買う時には、お金が必要です。
金貸しからお金を借りて、それを野菜や果物を買うことに使っています。
貧しい人々は、金貸しからお金を借りて、農家から野菜を買います。
そして、市場で、野菜を売り、そこで儲けた金額で、借りたお金を返しているのです。
お金を借りることを「融資を受ける」と言います
貧しい人たちは、野菜を買うために融資を受けて、商品を仕入れて売って、その売り上げの中から融資を返済するのです。
金貸しからお金を借りるデメリット
しかし、金貸しからお金を借りることにはデメリットがあります。
それは、悪い金貸しが多いという点です。
借りたお金をちゃんと返せるなら問題ないのですが、返せないことが多いのです。
なぜなら、悪い金貸しは、高い利息を要求するからです。
利息とは、お金を借りて返す時に、少し多めに返す分のことです。
少しの利息は正当です。
銀行もマイクロファイナンスも利息を要求します。
しかし、悪い金貸しは、要求する利息が高いのです。
つまり、「お金をたくさん増やして返して」と要求するのです。
悪い金貸しからお金をを借りると、今日、お金を借りて、明日返すだけでも、高い利息を払う必要があります。
この利息は、高ければ高いほど、お金を借りる人の負担になります。
いったん、お金が返えせなくなると、たちまち借金が膨れ上がる仕組みになっています。
例えば、インドでは、5ドル借りて、1年後までに返さなければ、1億ドル近い借金ができあがる、という取引が行われていました。
こうなると、もうお金を返すことは、不可能です。
金貸しからお金を借りると、このように借金まみれになってしまうのです。
そのため、お金に余裕がある人は、金貸しを利用しません。
銀行を利用します。
しかし、貧しい人々は、銀行を利用することもできません。
お金を貸してくれる存在は2つ
国民にお金を貸してくれる存在は、二つあります
「銀行」と「金貸し」です。
しかし、貧しい人は、銀行からお金を借りることはできません。
なぜなら、「貧しい人々はお金を返さないから」です。
貧しい人々はお金を返さないと、信じられているのです。
また、お金を返してもらうために、相手を監視することも難しいです。
お金を返してもらうために、銀行で働いている人が、毎月、村に行って様子をチェックするとなると、コストがかかりすぎてしまうのです。
そのため、貧しい人たちは、銀行からお金を借りれませんでした。
だから、不当な取引をしてくる悪い金貸しから、お金を借りてしまうのです。
金貸しが貧しい人にお金を貸す理由は、村にチンピラみたいな人を送り込んで、暴力を振るってでも、お金を返させるからです。
お金を貸した相手を監視することで、お金を返させているのです。
マイクロファイナンス
こうした状況を見て、マイクロファイナンスの創設者は、行動を起こしました。
マイクロファイナンスでは、貧しい人にお金を貸します。
しかも、そんなに高い利息を要求しません。
そのため、貧しい人にとって、借金が膨れ上がる不安もなくなります。
金利が高すぎないので、返済のためのお金を十分用意できます。
そして、貧しい人々は、自分の事業を拡大して、ものの数ヶ月で貧困から抜け出せたのです。
マイクロファイナンスが成功した理由
マイクロファイナンスが成功した理由は、4つあります。
1つ目に、銀行と同じように金利が正当な数字であるということです。
金利が高いわけではないので、貧しい人々は、安心してお金を借りることができます。
2つ目に、銀行と違って、貧しい人にもお金を貸すということです。
「貧しい人はお金を返さない」という先入観に囚われずに、貧しい人にもお金を貸しています。
3つ目に、金貸しのように村人を監視するシステムがあるということです。
金貸しのように、顧客を密接にチェックすることでマイクロファイナンスは、高い返済率を実現しています。
4つ目に、金貸しと違って暴力を振るわないということです。
マイクロファイナンスが、お金を返済させるために使うのは、暴力ではありません。
「恥の力」です。
マイクロファイナンスからお金を借りる時、少人数のグループを作る必要があります。
もし、お金を返せないと、連帯責任にさせられるから「恥ずかしい」のです。
その「恥の力」があるおかげで、ほぼ全員がしっかりお金を返すという仕組みを作ることに成功したのです。