フランスの経済学者ジャン=バティスト・セイは、セイの法則を主張しました。
セイの法則では「供給は需要を作る」と言われています。
なぜなのでしょうか?見ていきます。
供給は需要を作る
供給とは、モノを作ることです。
需要とは、モノを買うことです。
「供給は需要を作る」というのは「モノを作れば、必ず、買うお客さんが現れる」ということです。
例えば「パン屋さんでパンを焼けば、必ず全部、売り切ることができる」「どんなに不味いパンでも、値段が安ければ、売れる」ということです。
「作れば売れる」のだから、たくさん作れば良いと考えられていました。
セイの法則では、作ったものは、かならず売れることになっています。
もし、売れなければ、売れるまで値下げをして、売り切ります。
例えば、パン屋さんが、パンをたくさん作ったのに、お客さんが少ないなら、パンが売れ残ります。
そんな時は、パン屋さんはパンを値下げします。
そうしたら「安いならパンを買おう」と考える人が増えて、最終的には全部が売れます。
需要と供給が一致しない時は、売れるまで値下げをするので、最終的には需要と供給が一致します。
「売れ残ったものは、価格をどんどん下げていけばいい。そうすれば、作ったものは全部売れる」と考えられていたのです。
これが、セイの法則です。
景気は放っておけば回復する
セイの法則では「景気は放っておけば回復する」と考えられていました。
商品を作り過ぎてしまっても、それは、一時的な現象に過ぎません。
やがては需要と供給のバランスが取れて景気は回復するため、放っておけば良い、とされていました。
そのため、政府は景気回復のために頑張る必要はない、と多くの人が信じていたのです。
しかし、世界恐慌の時は、いくら価格を下げてもモノが売れないという状況になり、セイの法則が否定されるようになりました。