税
税とは、国民が政府に渡してるお金のことです。
国民にとっては失うお金ですが、政府にとっては手に入れるお金です。
課税
課税とは、政府が国民に「お金をください」とルールを作ることです。
国民が政府にお金を渡すように義務付けることを「課税」と言います。
ちなみに「国民が政府にお金を渡すこと」を「税金を納める」という言い方をします。
累進
累進とは、数字が増えるにつれて、比率が大きくなることです。
例えば、世の中には、貧しい人とお金持ちがいます。
貧しい人は、お金に余裕がありません。
税金を納めるのも一苦労です。
だから、「累進」の考え方のもと、貧しい人には、少ない比率の税金を納めてもらうことになっています。
一方で、お金持ちの人は、お金に余裕があります。
そのため、お金持ちの人には、たくさん税金を納めてもらうのです。
大きな数字の人ほど、大きな比率になることを「累進」と言います。
累進課税
累進課税とは、お金持ちから、ゴッソリと税金を取ることです。
日本のような累進課税がある国では、お金をたくさん稼ぐほど、たくさんの税金を取られてしまいます。
特に、1年間5000万円などの大金を稼ぐ人は、半分くらい税金で取られます。
「たくさん税金を納める」ことを、「税金の負担が大きい」と言います。
累進課税は、貧しい人にとっては、嬉しいやり方です。
お金をたくさん稼いでる人は、お金に余裕があります。
だから、他の人より多くの税金を納める事になっても、あまり生活が苦しくなりません。
これが、累進課税の考え方です。
現在、日本を含めた多くの国で、累進課税があります。
多くの国では、所得税は、累進課税のことが多いです。
所得税とは、お金を稼いだ時に払う税金です。
つまり、たくさんお金を稼げば、たくさん政府にお金を納めなければいけません。
一方で、あまりお金を稼いでない人は、あまりお金を納める必要がありません。
このことを「お金持ちほど税率が高くなる」という言い方をします。
一律課税
一方で、誰も同じ税率をかけるのが、一律課税です。
お金持ちも、貧しい人も、みんなが同じ負担です、
累進課税率を下げ続けて、ゼロまで下げた状態のことを「一律課税」と言います。
これは、お金持ちの人は嬉しいし、貧しい人は苦しい税金です。
累進課税の賛否両論
累進課税のトピックでよく議論されるのは、お金持ちはたくさんの税金を納めるべきなのか、それとも貧乏は自己責任なのか、というテーマです。
お金持ちの人は、貧しい人より多くの負担を背負うべきだ、と考える人は、累進課税率を「上げよう」と主張します。
一方で、貧乏は自己責任だ、と考える人は、累進課税率を「下げよう」と主張します。
結局のところ、バランスが大事です。
累進課税率が高すぎると、お金持ちの人たちの不満が溜まりますし、低すぎると、貧しい人たちが苦しい思いをします。
丁度いいところはどこなのか、意見は、揺れ動いてきました。
歴史を振り返っていきます。
税率を上げてほしい
税率を上げてほしいという声が大きくなったのは、1940年代の世界恐慌の時です。
当時は、世界中が貧しかったので、「もっと税率を上げてほしい」という声が大きくなりました。
「累進課税率を上げる」というのは、「お金持ちに、たくさん税金を納めてもらうようにする」ということです。
アメリカは、1944年に最高税率が94%になりました。
また、イギリスでは1940年代に98%まで上がりました。
昔から、累進課税は、貧富の格差を縮める税金だと主張されています。
貧しい人が苦しい状況に追い込まれる時期は、「累進課税の税率を高くしてほしい」という声が大きくなります。
こうして、アメリカやイギリスでは、極端な平等主義が続きました。
そのやり方に、反対したのは、サッチャーやレーガンです。
税率を下げてほしい
サッチャーやレーガンは、税率を下げようと主張しました。
サッチャーは、イギリスの首相で、レーガンはアメリカの大統領です。
レーガンやサッチャーの影響で、アメリカとイギリスでは、累進税率が大幅に下がりました。
つまり、お金持ちの人は、あまり税金を納めなくて良くなりました。
もちろん、貧しい人よりはたくさんの税金を納めていますが、以前と比べるとマシになった、ということです。
つまり、お金持ちの人は、自分が稼いだお金をを、自分のものにできるようになりました。
これはお金持ちの人にとっては嬉しいことです。
しかし、これが原因で、貧富の格差が広がっていきました。
サッチャーやレーガンは「貧富の格差よりも、国の発展を優先した」と主張しています。
彼らの考え方は、新自由主義と呼ばれます。新自由主義の考え方を紹介します。
お金持ちになるほど、税金を取られてしまうのであれば、働くモチベーションが保てないというのが、サッチャーたちの意見です。
そのため、税率が低いと、お金持ちの人が、やる気を持って働けるはずだ、ということです。
もし、お金持ちの人のモチベーションが高くなれば、国が豊かになるはずです。
新自由主義は、そのようなことを主張して、税率を下げるように要求しました。
税率が下がれば、お金持ちの人たちのモチベーションが上がるはずだ、というのが新自由主義の考え方です。
しかし、この後、アメリカの経営者の生産性が上がったという統計的データは、出てきませんでした。
一人当たり成長率は、1980年代以降、先進国てほとんど同じなのです。
つまり、累進課税率を下げても、お金持ちのモチベーションが変わることはなかったのです。
逆累進課税
逆累進課税とは、貧しい人から沢山の税金を集めることです。
これは、道徳的に良くないやり方です。
しかし、過去に、逆累進課税を作ってしまった国があります。
それは、イギリスです。
イギリスでは、サッチャー首相が「人頭税」という税金の集め方を実行しました。
人頭税とは、家族の中で人が多い家族により多くの税金を納めさせるやり方です。
しかし、どの時代でも「貧しい家庭ほとんど子どもが多く、お金持ちの家庭ほど子どもが少ない」という傾向があります。
貧しい家庭ほど子どもの数が多いので、人頭税を導入したことで、貧しい家庭が苦しくなりました。
人頭税は、逆累進課税なのです。
サッチャー首相は、不評を買ってしまい、1990年に首相をやめました。
貧乏は自己責任?
新自由主義では、「貧乏は自己責任」という考え方をしています。
しかし、その後、新自由主義を批判する人たちも増えてきました。
ピケティの考え方を紹介します。
ピケティは、「怠けたことで、貧しくなったのであれば、それは自己責任だ」と考えました。
「しかし、現実の世界では、貧しい人は、怠けたせいで貧しくなったのではない」と主張しました。
貧しくなるか、豊かになるかは、本人にはコントロールできない要因もあります。
例えば、貧しい家庭に生まれ、学校に行く時間もなく、ずっと働いて生活してる人は、給料の高い仕事をすることができません。
一方で、お金持ちの家に生まれると、働かなくても生きていくこともできます。
お金持ちの人の方が、お金と時間に余裕があるので、たくさん挑戦して、さらにお金持ちになることができます。
生まれた時点で不平等が与えられているので、貧乏は個人の責任だけではないのです。
だから、1番貧しい人たちに最低限の生活を定期するために、政府がサポートすることが必要であるとピケティは主張しました。