社会的な流動性が高い国では、貧しい人でも、努力をすれば豊かになれる可能性があります。
一方で、社会的な流動性が低い国では、お金持ちの家に生まれた人が成功します。
努力してお金持ちになれるかどうかは「社会的な流動性があるかどうか」が鍵となります。
社会的な流動性とは、何なのでしょうか?
みていきます。
社会的な流動性
社会的な流動性が高い国では、貧しい家の子どもでも、能力が高ければ、豊かになります。
一方で、能力が低ければ、お金持ちの家の子どもでも、転落します。
このように、社会階層の移動が激しい社会のことを、「社会的な流動性が高い」と言います。

世界で、社会的な流動性が高い国は、デンマーク、ノルウェー、フィンランドなどです。
社会的な流動性は「ソーシャル・モビリティ」とも呼ばれます。
ソーシャルモビリティが高い国では、お金持ちの家に生まれたかどうかより、本人に能力があるかどうかの方が大切です。

社会的流動性を高める方法
社会的な流動性は、高い方がいいです。
社会的な流動性を高める方法は、教育です。
教育を受ければ、貧しい人でも能力があれば豊かになれる可能性が高くなります。
教育は、社会的な流動性を高めるものなのです。

アメリカ
「誰でも成功できる国」と聞いて、皆さんが一番最初に思い浮かべる国はアメリカかもしれません。
19世紀、アメリカが建国して間もない頃は、努力次第で、豊かになることができました。
その理由は、お金持ちの財産が、子どもに引き継がれていなかったからです。

親の遺産を子どもに受け継いでいなかったので、貧しい家の子どもにもチャンスがあったのです。
しかし、今のアメリカは、まるで身分社会のように、お金持ちの子どもが豊かになり、貧しい人の子どもが貧しくなっています。
現在のアメリカは、社会的な流動性が低くなっています。
その理由の一つ目は、親が子どものために財産を用意するようになったからです。

二つ目に教育です。
アメリカのエリート大学の学費は極端に高いです。
お金がないと、エリート大学の学費を払えないのです。

貧しい家庭の子どもほど、進学する人は少ないです。
つまり、親の所得で、子どもの学歴はほぼ予測できるのです。
アメリカは、かつては「能力があれば誰でも成功できる国」でしたが、今は「お金がある人が成功できる国」に変わってきています。
無形資産
また、お金持ちに生まれた子どもは、無形資産も受け継ぎます。
無形資産とは「有名である」とか「どこどこの血筋である」とかのことです。
たとえば、貴族社会は、貴族というブランドも世襲する社会でした。

貴族は、土地だけでなく、「貴族というブランド」も持っています。
そのため、ますます富の格差が広がったのです。
現在でも世襲の問題はあります。
資本家の後継ぎや企業の跡継ぎは、有形資産を相続しています。
また、政界のニ世議員、芸能界の二世タレントは、無形資産を相続しています。
有形資産や無形資産があると、お金を稼ぎやすくなります。

「お金持ちな人の多くは、過去に一部の富を相続で得ている」とピケティは指摘しました。
世襲資本主義が格差を広げ、そして所得格差が拡大しているのです。
富の格差をなくそうと考えれば、今後、有形資産と、無形資産の世襲相続が、注目されていくかもしれません。