経済学では、一般的に、金利が低ければ景気が良くなる、と習います。
しかし、日本は、ずっと金利が低いのに、景気が悪いままです。
その理由を見ていきます。
一般論
まずは、経済学で習う一般論を紹介します。
それは「金利が低ければ景気が良くなる」というものです。
銀行の金利が下がると、企業にとってはお金を借りやすくなります。
企業は、銀行からお金を借りて設備投資をします。
設備投資とは、車を買ったり、ロボットを買ったり、お店や工場を大きくすることです。
金利が下がると、低いコストでお金を借りれるので、設備投資に挑戦する人が増えるのです。
そして、設備投資が増えれば、経済が動くので、景気が良くなります。
日本の現状
日本は長い間、低金利が続いています。
金利が低いのに景気が良くならないのです。
金利は不安を表す
銀行の金利は、国民の「不安」を表していると、ケインズは考えました。
現在の利子は「人々がどれほど将来に不安を持っているか」を知ることができます。
未来が不安なら、国民は、自分のお金を手放そうとはしません。
不安な時、企業は、銀行からお金を借りて設備投資をしないのです。
リスクを背負って設備投資をするのではなく、銀行に貯金するのが普通なのです。
しかし、貯金をする人が増えると、経済が止まります。
そのため、モノが売れなくなります。
この問題を解決するためには、人々の不安を和らげることが大切です。
心理学が大切なのです。
低金利が続くと、人は貯金をする
経済学的に考えれば、金利が低い時は、銀行にお金を預けるメリットがありません。
なぜなら、銀行にお金を預けても、もらえる利子が少ないからです。
その時、合理的な人なら「銀行にお金を貯金するより、買い物や投資をしよう」という気持ちになるはずです。
しかし、現実の人は、 低金利が続くと、貯金するようになります。
なぜなら、低金利が続くということは、不景気な状態が続くことを意味するからです。
景気が悪いから、銀行は金利を低くします。
つまり、金利が低いのは、景気が悪いということです。
景気が悪いと、人々は不安になります。
そのため、貯金を増やします。
人が銀行にお金を貯金するのは、将来が不安だからです。
未来が不安だから、買い物しないで、コツコツ貯金をするのです。
低金利が続くと、お金を使わずに貯金したくなるので、金利引き下げは景気刺激効果がないのかもしれません。