アダムスミスは、分業の素晴らしさについて語りました。
どんな主張をしたのかみていきます。
分業とは
分業とは、複数の人が役割を分担してモノを生産することです。
1人1人が、自分に必要なものを作るより、分業した方が、多くのものを作ることができます。
このようにして、何人かで、作業を分割した方が、より多くのピンを生産できます。
1人で針金を伸ばして、それを分断して、頭をつけるとなると、効率が悪いです。
それよりも針金を引き伸ばす人、分断する人、削る人、頭をつける人、と、それぞれの生産過程を分業すれば効率よく作業できることになります。
一人で1本1本つくるのではなく、役割分担した方がいいのです。
分業すると、分業しない時に比べて、たくさんのピンを作ることができます。
人類は、分業のおかげで発展してきました。
今の私たちは、昔の王様よりも豊かな生活を送っています。
それは、モノを効率よく生産する工夫をしてきたからです。
今の庶民がいい暮らしができているのは、分業しているおかげなのです。
原始的な社会では、衣食住を全て自分で整えなくてはなりません。
すごく不便で、不安定な生活でした。
しかし、今の私たちは、自力で衣食住を準備する必要はありません。
お店から買えばいいのです。
お店で売っているモノは、たくさんの人の分業が関わっています。
お店で魚を買う時、それがお店に並ぶまでには、漁師や運転手や販売員など、たくさんの人が関わっているのです。
たくさんの人が関わって、私たちの食卓に魚が届いているのです。
特化
分業で生産性が上がる理由は、特化していくからです。
ひたすら同じ作業を繰り返していれば、その作業をより上手にすることができるようになります。
分業をすることで、それぞれが自分の担当している仕事のクォリティを高くできるのです。
それぞれが得意な分野を活かし、専門化することを「特化」といいます。
仕事を特化すれば、仕事を覚える時間が少なくなります。
例えば、針金を尖らせることだけをすれば良い人は、他の作業を理解する必要はありません。
他の作業を他人に任せるので、仕事を覚えるために必要な時間が少なくて済むのです。
分業しているということは、それぞれの人が熟練した技能や知識を持ってるということです。
分業していくことで、豊かな社会をつくることができるのです。
交換
私たち人類は、自分が得たものを「交換」することで、さらに生活を豊かにしてきました。
人は、1人で全てを頑張るより、何か一つに集中して頑張った方が、熟練度が上がります。
1人で魚を持って、米を育てるより、役割分担して、交換する方がいいのです。
それぞれが得意なものを生かして、交換し合うことで、自分だけでは獲得できなかったものを手に入れることができます。
「交換」が分業を発達させて、人々を豊かにしてきたのです。
人類は、文明を発達させてきました。
なぜ文明が発達したのかというと、分業していたからです。
では、なぜ分業したのかというと、交換していたからなのです。
原始時代から、人類は「交換」をしてきました。
交換することで、自分では手に入らない物を入手できるようになったのです。
そして「交換」があるため、人々は、自分の必要なものを自分で全て生産する必要はなくなり、専門分野に特化するようになっていきました。
それが文明を発達させたのです。
貿易
国と国が交換を行うことを「貿易」といいます。
貿易では、自分の国にとって得意な商品を売ります。
例えば、イギリスか毛織物が得意で、フランスがワインが得意なら、貿易では、毛織物とワインを取り引きします。
比較優位
比較優位とは、得意なことに専念し、不得意なことは他人に任せることです。
例えば、イギリスは、毛織物の方がワインより、比較優位性が高いです。
そのため、イギリスは、毛織物に専念した方がいいです。
「優位性が高い」とは、何かと比較して、得意な方のことです。
国際分業
国際分業とは、それぞれの国の得意なものを生産して、貿易することです。
国際的にも分業することで、全体の利益を増やすことができます。
国際分業する社会では、得意なモノをたくさん生産して輸出し、そうでないモノは輸入します。
国際分業を行う方が、全体の生産性が上がります。