アダムスミスは、国民に自由に競争させるべきだと主張しました。
これは、一見、お金持ちがさらにお金を稼ぐことを応援しているようにも見えます。
でも、アダムスミスが伝えようとしたことは、そうではないのです。
アダムスミスの思想を見ていきます。
一般的な解釈
アダムスミス以降の時代の人々は、「自由競争」を主張する際は、「お金持ちに自由に商売をさせて」と主張してることが多いように感じます。
自由という言葉は、ある意味「お金持ちに思い税金をかけてこないでほしい」というニュアンスで使われるのです。
「自由」という言葉は、しばしば「平等」という言葉の対義語として使われます。
自由を大切にする人は、お金持ちがガンガンお金を稼ぐことで、国が豊かになると、主張することが多いです。
一方で、平等を語る人は、貧しい人に福祉を与えるべきだと、主張することが多いです。
一般的には、「自由が大切」と主張すると、「平等は大切ではない」というニュアンスで伝わることが多いのです。
「お金持ちは、好きなようにお金を稼げばいい」という主張が「自由」と表現されるのです。
アダムスミスが考える「自由」
しかし、アダムスミスが主張する「自由」は違います。
アダムスミスは、「自由か独占か」という軸で語っています。
自由という言葉は、「独占は良くない」ということを主張するために使われました。
アダムスミスは「政府がわざわざ企業を優遇するようなルールを作る必要はない」ということを伝えようとしていたのです。
企業に特権などを与えなくても、国家は繁栄することを、スミスは説明しようとしました。
アダムスミスの時代
アダムスミスの時代は、重商主義でした。
重商主義は、輸出を重視します。
そして、輸出を増やすために、輸出奨励金というものがありました。
輸出奨励金とは、輸出をする企業にお金をあげるということです。
海外に勝つために、政府は、もともと儲かってる強い企業にお金を与え、さらに儲かるようにしようとしました。
国のお金を特定の企業(独占企業)に集めて、その企業を成長させるようにしました。
しかし、そんな輸出奨励金に、アダムスミスは、反対しました。
お金持ちの独占企業が、政府からも輸出奨励金をもらっていることを批判したのです。
アダムスミスは、独占をなくしたかったのです。
アダムスミスは、「利己心」をエネルギーに働く人を応援したいと考えています。
「自由に競争をするべき」というのは、「企業に特権を与えるべきではない」ということを主張するための言葉なのです。