イギリスのブロック経済を簡単に解説

自由貿易

1929年に、世界恐慌が発生し、世界が不景気になりました。

そして、その不景気はさらに悪化し、第二次世界大戦に繋がりました。

不景気が悪化した原因に「ブロック経済」というものがあります。

この記事では、ブロック経済がつくられた理由について解説します。

世界恐慌

まず世界恐慌になる前のアメリカについてです。

アメリカは第一次世界大戦で戦場とならなかったため、第一次世界大戦後、世界経済の中心となりました。

しかし、1929年、アメリカの株式市場で株価が大暴落し、不景気となりました。

不景気とは、モノが売れない状態です。

お店の人の立場から見てみると、モノが売れないと、お金が手に入りません。

つまり、モノが売れない時期は、生活に困るのです。

物が売れなくなると、それを作っているお店が儲からなくなります。

お店が儲からない時は、お店で働いている人の給料を減らすことになります。

なぜなら、お店にお金がなければ、働いてる人にお金(給料)を与えることができないからです。

不景気とは、「国民みんなの給料が減る」ということです。

国民みんなの給料が減ると、人々は「節約」をするようになります。

節約とは、モノを買わなくなることです。

これが「不景気」という状況です。

誰かが節約するようになると、その周りのお店が儲からなくなります。

お客さんが貧しくなると、お客さんが利用していた店も、貧しくなるのです。

こうして、どんどん悪い影響が広がっていきました。

輸入を減らす

こうして、みんなが貧しくなったので、それぞれの国が輸入を減らしました。

輸入とは、海外から商品を買うことです。

つまり、海外のお店を儲けさせる行動です。

言い換えると、輸入とは「国内のお店を儲けさせない」行動です。

例えば、自国のりんご屋さんと、海外のりんご屋さんがあるとします。

海外のりんご屋さんで買い物をするということは、自国のりんごを買わないということです。

これは、つまり、「自国のりんご屋さんを儲けさせない」ということです。

だから、政府は「輸入は良くない」と考えるのです。

「輸入がダメ」とすることは、自国のりんご屋さんを守ることに繋がります。

もし、「輸入がダメ」ということになれば、海外のりんごを買うという選択肢がなくなります。

こうして、輸入を減らすことで、自国の産業を守ることができるのです。

また、当時の各国の政府は、輸出を増やそうとしました。

輸出するということは、自国の商品を売るということです。

そのため、各国は、不景気を脱出するために、輸出を増やそうとしました。

買い物について

買い物についてです。

お客さんは、安い商品を買います。

お客さんは、商品が、国産品か、海外のものかは、あまり気にしません。

安い方を買うのです。

輸入品の方が安い場合は、輸入品がよく売れるようになります。

また、片方が良く売れると、もう片方は売れづらくなります。

そのため、もし輸入品が安かった時、国産品が売れづらくなるのです。

輸入品が安いと、国産品が売れなくなります。

しかし、政府としては、「国産品が売れるようにしたい」という本音があるのです。

国産品が売れるようにするためには、海外の商品が売れないようにする必要があります。

そのために「関税」をかけます。

関税とは

関税とは、税金の一つです。

輸入品に関税をかけることで、輸入品の値段を高くするのです。

輸入品の値段を高くすると、結果的に国産品の値段が低くなるのです。

そして、お客さんは値段が低い商品が好きなので、国産品が安ければ、国産品を買うようになるのです。

「輸入を減らす」=「関税をかける」です。

輸入を減らすためには、輸入品が売れないようにする必要があるのです。

商品の競争力を上げる

関税とは、「国産品の競争力を上げてくれるもの」と表現することもあります。

「競争力が高い」とは、たくさん儲かることを表します。

「良く売れる」=「競争力が高い」です。

輸入品の「関税」を引き上げると、国産品の競争力が上がります。

なぜなら、輸入品が高くなると、相対的に、国産品が安くなるからです。

高い商品と安い商品が並んでいたら、安い商品が売れます。

つまり、「商品が安い」=「競争力が高い」です。

商品の値段が下がることを、「商品の競争力が上がる」と言います。

保護貿易

保護貿易とは、政府が「輸入をやめて」と貿易を制限することです。

「貿易を制限する」=「関税をかける」です。

「海外が儲けることは悪いことで、自国が儲けることは良いことだ」という考え方が背景にあります。

ブロック経済

保護貿易と似てるのがブロック経済です。

ブロック経済とは、「仲間どうしなら貿易してもOK」とすることです。

植民地がある国にとって、植民地は仲間です。

植民地と自分の国の間だけで、貿易をすることを、ブロック経済と言います。

イギリスは、オーストラリア・ニュージーランド・香港・南アフリカなどと一緒に、ブロックをつくりました。

イギリスのブロックは、スターリング・ブロックと呼ばれました。

また、フランスは、オランダ・ベルギー・スイスとブロックを作りました。

フランスのブロックはフラン・ブロックと呼ばれました。

これらの国々は、仲間のみで貿易をするようにしました。

また、仲間じゃない国と貿易する時は、関税をかけるようにしました。

仲間だけで、経済圏を作り上げたのです。

経済圏とは

「圏」とは、範囲、集団、なわばりという意味です。

経済圏を作ると、お金は仲間の間でしか動かなくなります。

このお金の動く経済圏のことをブロック(bloc)と呼びます。

ブロックの英語のスペルは2つありますが

断ち切るという意味のblockではなく、圏という意味のblocというスペルです。

世界の経済が悪化

当時の国々は、みんなが、輸入を嫌がりました。

そして、世界の経済が悪化しました。

なぜなら、「A国が輸入を嫌がる」ということは、「B国は儲からない」ということだからです。

世界中の国が輸入を止めれば、輸出もできなくなります。

そして、みんなが儲からなくなり、不景気が更に深刻化し長引きました。

第二次世界大戦の原因

世界恐慌の後のブロック経済が、第二次世界大戦の要因の一つとなりました。

なぜなら、仲間に入れてもらえなかった国は、生き残りをかけて、戦うしかなくなったからです。

イギリス、フランス、アメリカなどは、「持てる国」と呼ばれました。

一方で、ドイツ、日本、イタリアは「持たざる国」と自称しました。

ドイツ、日本、イタリアは、「持てる国」になるために、他国に侵略しました。

こうして、第二次世界大戦が始まりました。

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