現在、日本は、少しずつインフレが進んでいます。
2%程度のゆるやかなインフレなら健康的ですが、急激なインフレは、経済を混乱させます。
なぜインフレが危険なのか?
インフレを止めるにはどうしたらいいかのか?
日本の過去の事例から見ていきます。
なぜインフレが起きたのか?
まずは、なぜインフレが起きたのか説明します。
第二世界大戦が終わった後、日本はインフレで大混乱していました。
どうしてインフレが起きたのでしょうか?
日本は戦争に負けました。
そして、多くの兵隊が日本へ帰ってきました。
軍がなくなったので、軍人700万人に退職金が支払われました。
日本には、お金をたくさん持った人がたくさんいました。
しかし、負けたので、日本にはモノがありませんでした。
米もないし、野菜もないし、小麦粉もありません。
パンを買いたくても、そもそもパンがほとんどないのです。
そんな状況だったので、インフレになりました。
インフレになるメカニズムを説明します。
例えば、2人の人がパン屋さんにいきます。
パン屋さんは、パンを一つしか売ってなかったとします。
1人目のお客さんがパンを買おうとします。
すると、2人目のお客さんは、「私はもっと高い値段でパンを買います」と言います。
そしたら、パン屋さんは、2人目のお客さんにパンを売ります。
すると、1人目のお客さんは、「私はさらに高い値段でパンを買います」と言います。
パン屋さんは「じゃあ、1人目のお客さんにパンを売ろう」と考えます。
こうしてパンの値段がどんどん高くなるのです。
「日本に、お金が溢れてるのに、モノがない」
そんな時は急激なインフレになるのです。
なぜインフレが危険なのか?
インフレとは、お店の商品がどんどん高くなることです。
急激なインフレは危険です。
なぜなら「焦るから」です。
例えば、コーヒー屋さんに行って、コーヒーを飲んでる間に、コーヒーの値段が高くなってたら、ゆっくりコーヒーが飲めません。
こうなると「早く買う方が、おトク」という状態になります。
明日買うより、今日買うべきだと考える人が増えます。
みんなが我先にと、商品を買おうとします。
お店にお客さんが押し寄せます。
するとお店の人が困ります。
お店の人は「お客さんにお店に来ないでほしい」と考えるようになります。
お客さんがお店に来ないようにするには、どうしたらいいでしょうか?
お客さんは、お店の商品が高かったら、買い物を止めるはずです。
つまり、お客さんにお店に来て欲しくないなら、お店のパンの値段を、思いっきり高くしてしまえばいいのです。
これで、お店にお客さんが来なくなるはずです。
しかし、実際には、そうはいきません。
お店の値段を高くすると、逆に、お客さんはたくさん買い物をするようになるのです。
その理由は「明日は、もっと値上げしてるかもしれない」と考えるからです。
昨日より、今日、パンの値段が高くなってると、損した気分になります。
しかし、明日さらに値上げするとしたら、どうでしょうか?
明日買うよりは、今日買っておく方がお得です。
お店が商品を値上げすると、逆効果で、お店にお客さんが集まってきてしまうのです。
インフレを止めるにはどうしたらいいかのか?
インフレは、みんながお金を持ってる時に起きます。
インフレとは、国内にお金があふれている状態のことです。
インフレの時は、お客さんがたくさんのお金を持っています。
もし、人々がお金を持っていなかったら、インフレになりません。
インフレを止めたいなら、人々からお金を取り上げてしまえばいいのです。
つまり、世の中のお金を減らせばいい、ということです。
戦後の日本は「預金封鎖」というものを実施しました。
まず、国民に向けて、古いお金はもう使えなくなるから、その前に預金してくださいと呼びかました。
「預金」とは、銀行に預けるということです。
古いお金は持っていても、使えなくなるから、銀行に入れてください、とお願いしたのです。
こうして、世の中に出回っている古いお金を銀行に集めたのです。
そして、銀行はその預金を封鎖します。
預けたお金の全額は、引き出すことができなくなりました。
引き出せる金額を制限しました。
また、引き出されるお金を新しい紙幣にして、その新しい紙幣しか使えないようにしました。
世帯主は月300円、人家族1人につき100円だけ、引き出すことができました。
一定の額しか引き出せなくなりましたが、少しずつなら引き出せます。
毎月、引き出せるお金の量を減らしたのです。
これによって日本中に流れていたお金の量が減り、インフレが止まりました。