アダムスミスは、価格には自然価格と市場価格があると考えました。
その違いを見ていきます。
自然価格
自然価格とは、労働量で測定される価格です。
労働量が価格を決めるということです。
例えば、ジャガイモを簡単に作れる機械が発明されたら、ジャガイモの値段は安くなります。
ジャガイモを作るための労働量が減れば、ジャガイモの値段は安くなるのです。
市場価格
市場価格とは、実際に支払われる価格です。
商品が実際に売られるときの価格は、自然価格と等しいときもあれば、そうでないときもあります。
例えば、ジャガイモ好きの人が急増して、ジャガイモが人気の商品になれば、ジャガイモの値段は上がります。
お客さんが、ジャガイモを奪い合えば、ジャガイモの値段が高くなるのです。
お客さんが商品を奪い合えば、商品の値段が上がります。
一方で、お店がお客さんを奪い合えば、商品の値段が下がります。
つまり、市場価格は、需要と供給によって決まります。
現実には、自然価格どおりに商品が売れるとは限らないのです。
市場価格は、名目価格とも呼ばれます。
自然価格と市場価格は、同じになる
アダムスミスは、自然価格と市場価格は、同じになるはずだと考えています。
例えば、ジャガイモが人気になって、みんなが高い値段でジャガイモを買うようになったとします。
これ、ジャガイモの数が少ない割に、買いたい人が多いということです。
この時、市場価格は自然価格を上回っています
すると、農家は、もっとたくさんのジャガイモを生産します。
ジャガイモがお店にたくさんあれば、お客さんは、ジャガイモを奪い合わなくなります。
そのため、ジャガイモの値段が安くなるのです。
反対に、お店にたくさんのジャガイモが売れ残っているとします。
これは、ジャガイモの数が多すぎる一方で、お客さんが少ないことが原因で起こります。
この時、市場価格は自然価格を下回ってしまいます。
すると、農家は、ジャガイモをたくさん作るのをやめます
売れないなら、作らない方がいいのです。
こうして、市場価格は自然価格に自然と似てきます。
このように価格を指標にして生産量が調節されていくメカニズムをスミスは考えていました。