自生とは
雑草は、勝手に生えてきて、育って、いつの間にか大きく成長します。
そのような植物のことを「自生する植物」と言います。
「人が手を加えてないのに、勝手に育つ」ということを「自生」と呼びます。

ハイエクは、世の中のルールもまた「自生する」と考えました。
政府があれこれルールを作らなくても、ルールが勝手に育つのです。
そのような自生するルールのことを「ノモス」と言います。

ノモス
ノモスは、日本語で「規範」です。
自生的に発生したルールのことです。
例えば、長い年月を重ねて裁判所の判決が積み上げられている内にできあがった慣習法がノモスです。

判決が繰り返される中で形成される不文のルールのことを「ノモスとしての法」といいます。
これは、慣習であり、人々の蓄積された経験から生まれたルールです。
ノモスは、人々が取引を繰り返しているうちに、いつの間にか出来上がっていきます。
しかし、ノモスがあるだけではダメで、その都度その都度の状況に合わせた判断が必要です。
それは、「テシスとしての法」と呼ばれます。
テシス
テシスは、政府が決めた法律です。
テシスは、ハッキリと言語化されたルールです。

現実では、それぞれの状況に合わせて具体的に人々を動かすために、法律が必要です。
ハイエクは、それを「テシスとしての法」と呼んでいます。
どちらが大事なのか?
ノモスとテシスのどちらが大事かというと、ノモス(規範)の方が大事だとハイエクは考えています。

テシスは、国家権力が作る法律です。
国家権力が強くなりすぎてはいけません。
そのため、ノモスの方が、優位に立つべきです。
また、テシスは、その都度その都度に合わせてできた法律です。
一方で、ノモスは、自生したルールです。
あくまでも、自生してできたルールの方が上に立つべきなのです。