フリードマンは、裁量的な金融政策を批判しました。
なぜなら、権力が集中する恐れがあるからです。
フリードマンが裁量的な金融政策に反対した理由について詳しく見ていきます。
自由主義が恐れているもの
フリードマンは、自由主義者でもあります。
ある人の自由が他の人の自由を妨げない限りにおいて個々人の最大限の自由を守ることを自由主義は目指します。
そんな自由主義が恐れているものは、権力の集中です。
この目標を実現するためには、権力の分散が必要だというのが、自由主義の考えです。
金融政策の2つのやり方
金融政策とは、中央銀行が、国にお金を供給することです
そのやり方は、2つあります。
「裁量とルール」です。
裁量とは、人が頭で考えていくやり方です。
ルールとは、あらかじめ決めたルールに従うやり方です。
裁量的に行うと権力が集中する
金融政策を裁量的に行うと、権力が集中してしまうと、フリードマンは批判します。
裁量的に金融政策を行った結果、たいへんなことになってしまった具体例として、フリードマンは、世界恐慌を挙げています。
世界恐慌の時は、アメリカをきっかけに、世界中が不景気になってしまいました。
その時、アメリカの中央銀行は、裁量的な金融政策を行っていました。
大恐慌は、人間が自分の頭で考えて金融政策を行うと、判断ミスが起きます
判断をミスると、世界恐慌のような、たいへんなことが起きてしまうのです。
フリードマンの考え
裁量的金融政策とは、ごく少数の人間が頭で考えて行うものです。
しかし、その失敗が、あれほど重大な結果を引き起こす可能性があるなら、それは、悪い制度なのだと、フリードマンは批判します。
裁量的な金融政策では、権力が少数の人間に集中します。
政策が上手くいくかどうかは、その人たちの知識や能力によるのです。
こんな、気まぐれで政策を作れるような制度では、とにかく失敗は避けられないのです。
最後に
裁量的にやると、一握りの人間の気まぐれに、国民が振り回される危険性があります。
そして、世界恐慌のような大不況を呼び起こす危険性もあります。
そのリスクを避けるため、金融政策は、ルールに基づいて行うべきであるというのが、フリードマンの主張です。
ルールに従うということにすれば、「人間の判断ミス」を防げるのです。