「労働を抽象化する」というのは、「労力の量を測る」ということです。
なぜそのような意味になるのか、詳しく見ていきます。
モノの価値
まず、モノの価値は2つの捉え方があります。
使用価値と交換価値です。
「美味しい・栄養がある」といった、「それを使うメリット」は、使用価値と呼ばれます。
また、「どれだけ労力をかけたか」といった、「労力の量」は、交換価値と呼ばれます。
モノを交換する時は、同じ価値のモノを交換します。
つまり、共通の何かを比べる必要があります。
それが、労力の量です。
例えば、パンと服を交換したい時は、それぞれを作るために使った労力の量を比べます。
質の違う商品を交換する時は、労力の量を比べる必要があるのです。
労力の量が大きいと、交換価値が大きいということになります。
他の商品と交換される時に比べるのが、交換価値です。
交換
2つのモノを交換する時は、同じ価値どうしを交換します。
でも、使用価値(暖かい・美味しいなど)は、比べることができません。
だから、交換価値(労力の量)を比べるのです。
抽象化
性質の違う商品に共通点があるとすれば、それは「労力がかかっている」という点だけです。
そのため、2つの商品を比較するためには、労力を比較します。
そこで「抽象化」が必要になります。
抽象化とは、価値の比較に不必要な要素を除くことです。
つまり、抽象化とは、労力だけに注目することです。
外見や使い道など、価値の比較に不必要な要素を排除し、交換に必要となる部分だけに注目します。