アダムスミス
アダムスミスは、みんなが豊かになるにはどうしたらいいかと考えました。
アダムスミスは、もともと「道徳哲学」の先生でした。
彼は『道徳感情論』という本を書きました。
『道徳感情論』の中で、彼が強調しているのは、「同感」という感情です。
「同感」とは、相手の意見に「賛成する」ということです。
人が働く時は、基本的にはお金のために働きます。
つまり、自分のためです。
お金がないと生きていけないから、お金を稼ぐために働きます。
多くの人は、自分の利益を考えて行動します。
それでも社会的に秩序が成り立っています。
それはどうしてなのでしょうか?
それについて、アダムスミスは「同感」があるからだ、と考えました。
人は、利己的にお金を稼いでいます。
しかし、その中にも秩序があります。
みんながそれぞれ勝手な行動をとってはいるけど、「他人から同感が得られる範囲で」好き勝手に生きてるのです。
他人から許されるラインを、それぞれの人が意識してるから、社会の秩序は保たれているのです。
たしかに、お金を稼ぐ行動そのものは、自分のためにおこなれます。
しかし「このやり方は許されるかな?」「このやり方は許されないかな?」と考えながら
許されるラインを見極めて、お金を稼いでいます。
利己的な行動だったとしても、同感を他人から得られたりすれば、その行動は許されるのです。
「ここまでやったら、他の人から同感が得られないなぁ」と思えば、自分の行動に自然とブレーキがかかります。
だから、社会の秩序は保たれているということです。
政府はルールをたくさん作らないで
アダムスミスは、政府がルールをたくさん作るのは、良くないと考えました。
当時の政府は、いろいろルールを作って、人の行動を制限していました。
それに対して、アダムスミスは「放っておいても、社会は上手く回るから、人々の行動は放置するべきだ」と主張しました。
アダムスミスが生きていた時代は、18世紀です。
当時のイギリスは、王様が国民を支配する力が弱まり、政府が国民を統治する時代への変わっていました。
しかし、上から縛られるのではなくて、市民が自由に生きていける社会を、アダムスミスは作ろうとしました。
国民は政府のルールに縛られなくても、それなりに上手に経済を回す力があります。
そのため、政府が市民の自由を奪うのは良くないと考えたのです。
利己心があっても上手くいく
人々には、利己心があります。
例えば、パン屋さんはパンを焼きます。
その仕事をすればお金になるから、それをしてるだけです。
パン屋さんは、お客さんを幸せにしたいと思っていたとしても、いなかったとしても、パンを焼きます。
でも、お客さんは、それを買って結果的に幸せになっています。
利己心でパンを作る人がいるから、お客さんはパンを食べる事ができます。
利己心によって経済が回っているのです。
全てが上手くいくわけではない
しかし、国民の利己心だけでは、うまく回らない時もあります。
その時は、政府が必要です。
例えば、みんなが使う道路は、政府が作らないといけません。
全てを放っておけば良いというわけではなくて、国民の全員のためになるようなことは、政府がやる必要があります。