天才は、他の人が思いつかないアイディアを考えて、世の中をより良くしてくれる存在です。
しかし、それと同時に、個性的で、周りの人とは馴染みづらい面があります。
この記事では、ジョン・スチュアート・ミルが『自由論』で述べた内容について、見ていきます。
天才
天才は、独創性を持っています。
独創性を発揮する人が、世の中に新しい物を生み出します。
一方で、天才は、他の人より個性的で、みんなと馴染みづらい傾向があります。
「願望」が天才を作る
天才を生み出すのは、強い願望です。
天才は、「周りにどう思われてもいいから、○○を成し遂げたい」という強い願望から生まれます。
天才は、世間体をあまり気にしないのです。
一方で、平均的な人々は、願望があまり強くありません。
願望を持っていますが、並外れたことをしたいと思うほどの強さではないのです。
平均的な人は、「周りの人から変だと思われてもいい」と思えるほどの願望を持ちません。
だから、強い願望を持つ人を理解できないのです。
また、平均的な人は、願望を持って生きてる人と、ただ気が狂ってるだけの人を、見分けることができません。
そのため、天才は生きづらいのです。
型にはめれない
天才たちを、型の一つに押し込められてしまうと、彼らの才能を伸ばすことができません。
天才の場合、型にはめようとすると、他の人々以上に傷つきやすいのです。
せっかく才能を持って生まれても、型にはめられてしまえば、その才能は開花しません。
そうしたら、社会は、彼らの才能からはほとんど何も得られません。
また、傷つきにくい天才もいるかもしれません。
しかし、彼らが、型にハマることを拒めば、「乱暴」などの言葉で厳しく警告されることになります。
天才たちは、型にハマれば、才能は犠牲になるし、型にハマらなければ「乱暴だ」と言われてしまいます。
平均的な人たちは、天才たちの自由を奪おうとする傾向があります。
なぜなら、新しいアイディアに対して、警戒心を抱くからです。
新しいアイディアを出しただけで、被告人のように、裁かれるのです。
しかし、これは、本人の判断に任せて行動するという「個人の自由」を守っていないのです。
目に見えるものは褒められる
みんな「天才は素晴らしい」と口では言います。
しかし、彼らは目に見えるものしか評価しません。
天才が感動的な詩を書いたり、絵を描いたりした時だけ「素晴らしい」と言うのです。
目に見えないもの
しかし、天才という言葉の本当の意味は、思想や行動の独創性という意味です。
天才とは、目に見えないものなのです。
目に見えないから、平均的な人は、独創性が何の役に立つのかが分からないのです。
そういう意味では、人々は内心「そんな天才が居なくてもいい」と思っているのです。
なぜなら、世の中の人々は、独創性が何の役に立つのかが分からないからです。
世の中の多くの人は、役に立たない独創性は、必要ないと考えています。
だから、天才を大切にしない人がいるのかもしれません。
天才は少数派
天才は、基本的には、少数派になります。
「新しい何か」は全て、1人から始まるのです。
「新しいものを生み出す人」は、最初は、少数派なのです。
もし、少数派を大切にしなければ、世の中に新しいものは、生まれなくなります。
たしかに、少数派のために、わざわざ配慮するのは難しい、という意見もあります。
しかし、彼らを存在させるためには、彼らが育つ土壌を保つ必要があると、ミルは言います。
天才が自由に呼吸できるのは、自由な空気の中だけでなのです。
それぞれの生き方
それぞれの人は、それぞれ異なった条件を必要としています。
全員が同一の環境の中で元気に生きていくというのは、無理な話だと、ミルは言います。
これは、色んな植物が、同じ環境の中で元気に生きていけないのと同じです。
ある人にとってピッタリの生き方は、他の人にとって、成長を阻む生き方なのです。
そのため、それぞれの人の才能を伸ばすためには、多様性を認める必要があるのだとミルは主張しました。