ピケティは、富の再分配について話しました。
「富の再分配」とは、お金がある人からお金をもらって、お金がない人に配るようなことです。
富の再分配の具体的な例は、税金です。
特に、累進課税というやり方があります。
これは、たくさんお金を稼いでいる人からガッポリと税金を集めて、稼いでない人からは、あまり税を集めないやり方です。
累進課税は、貧富の差を改善する役割があります。
しかし、累進課税の税率が高すぎると、お金持ちの人から不満が出ます。
お金持ちの人の意見
1980年代、お金持ちの人を中心に、次のような考え方が流行り始めました。
「お金を稼いでも、税金でどんどん取られちゃうから、働くモチベーションが保てない」
働くモチベーションが落とされることを「労働意欲が削がれる」と言います。
新自由主義者は「税金が増えすぎたら、お金持ちの人たちの労働意欲を削いでしまう」と心配したのです。
この記事では、「富の再分配は、働くモチベーションを減らしてしまうのか?」について考えていきます。
新自由主義の考え
新自由主義者たちは、あまりに税金が高いと、お金持ちの人をガッカリさせてしまうと考えます。
もし、お金持ちからたくさんの税金を集めていたら、お金持ちの人は、働かなくなるかもしれないのです。
そうしたら、税金も集まらなくなってしまいます。
税金とは、国民から集めるお金です。
国民が働いて、給料をもらう時に、税金を納めます。
そのため、そもそも国民が働かなくなったら、政府は税金を集められないのです。
この考え方は、アメリカで広まり、お金持ちの人が納める税率は
1970年の70%から、1986年の28%にまで、下がりました。
ピケティの考え
ピケティは、税率が上がった国や、税率が下がった国をそれぞれ研究しました。
ピケティが出した結論としては、「税率が高くなったことを理由に、働くのをやめたお金持ちの人は、ほとんどいない」ということです。
税率が高くても低くても、労働意欲は変わらなかったのです。
また、ピケティは、政府がよりたくさんの税金を集めるためには、最低賃金を高くすることが大切であると主張しました。
最低賃金が高くなれば、いい仕事じゃなくても、そこそこの給料がもらえるようになります。
最低賃金が増えれば、ニートが働くようになるのです。
ピケティは、「最低賃金が高くなれば、貧しい人に労働意欲を与える」と考えました。
最低賃金が引き上げられると、給料が安い仕事がより魅力的なものになるのです。
そのため、お金持ちの人から、ガッホリ税金を集めて、それを、最低賃金を高くすることに使うべきなのです。