工場制手工業
工場制手工業とは、資本家が工場に労働者を集め、分業の形で手工業により商品を製造する生産様式です。
多くの労働者が1箇所に集められるようになると、「分業」がされるようになります。
分業とは、役割分担することです。
労働者は、自分の作業に集中するようになり、専門的になります。
分業をするということは、仕事が細分化されるということです。
そのため、一人ひとりの仕事の内容が単純になっていきます。
単純な仕事は、マスターしやすく、労働者の熟練度が増し、生産性が向上します。
機械化について
分業されると、仕事が機械化しやすくなります。
分業できない分野は、機械化が難しいですが、分業しやすい分野は、機械化しやすいのです。
例えば、お寿司屋さんで、店員が、オーダーを取って、料理をお客さんのテーブルに運ぶという作業が必要な時
「オーダーをとる担当」「料理をテーブルに運ぶ担当」など分業をすると、それを機械化しやすいのです。
分業をすることで、機械化しやすくなります。
なぜなら、分業することで、各部門で、機械が次々に発明されからです。
生産現場で分業が浸透しているからこそ「工場制手工業」から「機械制大工業」へと移り変われるのです。
機械制大工業
機械制大工業とは、資本家が、工場に機械設備を整えて生産を行う生産様式のことです。
機械制大工業すると、(短期的に儲かるけど)長期的には儲からなくなります。
さらに、労働者の立場が弱くなります。
機械化すると、短期的には生産力が向上します。
しかし、機械化は、長期的に考えると、企業の利益を減らします。
なぜなら、機械化して、商品が簡単に作れるようになると、商品が安くなるからです。
機械化すると、商品の相場(世間一般な値段)が下がるので、結果的に、企業の利益が減るのです。
また、機械化すると、労働者の立場が弱くなります。
機械化すると労働者の立場が弱くなる理由①
機械化すると労働者の立場が弱くなる理由の一つ目は、機械を管理する人が長時間労働すべきという発想になるからです。
機械だけで、商品を作るのは、できないため、やっぱり管理する人が必要です。
24時間動く機械があるのだから、人間にもできるだけ長く働いてほしいと、資本家は考えます。
できるだけ長く働いてもらおうという思想になるのです。
機械化すると労働者の立場が弱くなる理由②
機械化すると労働者の立場が弱くなる理由の2つ目は、機械化すると、誰でも働けるようになるからです。
昔は大人の男性しかできなかった力仕事も、機械化すると、子どもでもできるようになります。
子どもも働ける時代になってしまったのです。
誰でも働けるようになるということは、働きたがる人が増えるということです。
こうなると、安くても働いてくれる人が増えます
女性や子どもが働けるようになると、成人男性の賃金も安くなっていきました。
そして、世の中は「子どもが働くのが当たり前」という時代になっていきました。
昔は、男性の賃金は、「家族の生活費」の金額でした。
しかし、子どもも働く時代では、「1人分の生活費」の金額しか、賃金をもらえなくなりました。
「子どもが働くのであれば、賃金は1人が生きていく分で足りる」という理由です。
こうして、子どもが働かないと、家族が生活できない状況になりました。
さらに、当時は、工場が機械を持っていたとしても、人が作る方が安く作れるのであれば、人が商品を作るという状況が広がっていました。
人間を労働者として使った方が、安いなら、機械を使わないのです。
マルクスは、この考え方は良くないと批判しました。
機械があるのに、子供を働かせる方が安いから、機械を使わないということがよくあるのです。
工場制手工業と工場制機械工業の違い
工場制手工業と工場制機械工業の違いは、機械化してるかどうかです。
工場制手工業は、分業してますが、まだ機械化してません。
工場制機械工業は、機械化された社会のことを言います。