新自由主義とアダムスミスの思想は、似てるようで違います。
どんなところが似ていて、どんなところが違うのでしょうか?
それぞれ見ていきます。
自由競争
似てる点
アダムスミスも新自由主義者も、自由競争に賛成しています
アダムスミスも、新自由主義者も、自由競争を大切にすることで、企業がのびのびと経営できる環境を育てることが大切だと考えました。
違う点
アダムスミスが自由競争に賛成した理由は、小さい企業や労働者を応援するためです。
そのように考えた理由は、当時は小さい企業や労働者などの弱者が犠牲になっていたからです。
当時は、独占と呼ばれる状況が続いていました。
独占とは、大企業だけが儲かり、小さな企業が成長できない状況です。
アダムスミスは、独占に反対していました。
しかも、政府は大企業に、輸出奨励金と呼ばれるお金を渡していました。
大企業だけにお金を渡していたら、それは「自由な競争」をしてるとは言えません。
だから、アダムスミスは、「自由競争」を主張したのです。
さらに、政府は、高い輸入関税を作ることで海外の競争相手を排除していました。
そのため、大きな企業がさらに大きくなる仕組みになっていたのです。
それに対して、アダムスミスは、小さな企業も成長できるようにしたくて「自由競争が大切だ」と主張しました。
さらに、酷かったのは、職人組合です。
製造業の親方たちは、団結して、自分達に有利なルールを作りました。
職人仕事を身に付けたければ、まずは親方のもとで7年の修行を積まなければいけません。
だから、親方は、競争から守られていて、競争を恐れる必要がありませんでした。
アダムスミスは、このような状況を批判したのです。
アダムスミスは、「自由競争が大事だ」と主張しましたが、それは弱者を守るためです。
アダムスミスの目標は、大企業や親方に搾取されている人たちを救うことだったのです。
一方で、新自由主義者たちが自由競争に賛成している理由は、お金持ちたちの権利を守るためです。
新自由主義者たちは、弱虫が嫌いです。
他人を頼らずに、自立して生きるべきだと考えています。
貧困は自己責任なのです。
政府の介入に対して
似てる点
新自由主義とアダムスミスの似ている点は、「政府は介入を減らすべきだ」と主張している点です。
アダムスミスも、新自由主義者たちも、政府は企業に介入すべきではないと主張しました。
違う点
アダムスミスは、重商主義と戦っていました。
当時の政府は、儲かってる企業がさらに儲かるように、政府が企業に奨励金を与えていたのです。
それに対して、アダムスミスは、企業に奨励金をあげなくても企業は、成長すると考えました。
だから、政府は企業に介入するべきではないと主張したのです。
一方で、税金を集めるという点での介入には、アダムスミスは賛成しています。
特にお金を持ってる人からお金を集めて、貧しい人のために使うことには賛成してます。
当時は、累進課税が存在していませんでしたが、アダムスミスは累進課税を提案しているのです。
一方で、新自由主義者は、貧困は自己責任だと考えています。
そのため、裕福層から税金を取るのは良くないと考えています。
裕福層を優遇した方が国が発展すると主張しているのです。