1980年代は、世界の景気が悪くなっていた時代でした。
そして、新自由主義が流行り始めました。
なぜ、景気が悪くなると、新自由主義が流行るのでしょうか?
見ていきます。
時代背景
1980年代に景気が悪くなっていた理由は、1973年にオイルショックがあったからです。
1973年、イスラエルとアラブ諸国の間で第4次中東戦争が勃発しました。
アラブ諸国は、原油を輸出している国々です。
彼らは、原油の価格を70%高くしました。
そのため、石油を消費しているアメリカなど、先進国は大きく混乱しました。
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石油は、色んな商品に使われています。
また、商品を運ぶ時の車のためにも、石油は必要です。
石油の価格が高くなると、世の中のあらゆる商品の価格も高くなってしまうのです。
こうして、物価がどんどん上昇しました。
景気が悪くなった原因は…?
先進国では、1930年代〜1970年代までは、ケインズ経済学が主流でした。
そのため、当時の人々は、「景気が悪い原因は、ケインズ経済学だ」と考えました。
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ここで、ケインズ経済学について、少し説明します。
ケインズ経済学とは、有効需要政策などをする考え方です。
これは、「国民がお金を持っていたら、世の中のお店は儲かる」と考えます。
そのため、失業者に仕事を与えることで、お金を与えたり、世の中のお金を増やすことで、国民にお金が行き渡りやすくしたりします。
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ケインズ経済学では、政府が弱者を救うために、いろいろと頑張ります。
そのため、政府にもお金が必要になります。
世の中の弱者を救うためには、政府にお金が必要なのです。
そのため、ケインズ経済学を採用すると、税金が高くなります。
お金を持ってる人から税金を集めて、それを弱者のために使っていくのが、ケインズ経済学なのです。
「政府が弱者を救っていこう」という考え方を、「大きな政府」といいます。
ケインズ経済学は、大きな政府です。
ケインズ経済学批判
ケインズ経済学は、「政府が」弱者を助けるべきだという考え方をしています。
政府は、どんどんお金を使います。
つまり、政府が持っているお財布のお金がどんどん無くなってしまうのです。
ちなみに、政府のお財布のことを、「財政」と言います。
ケインズ経済学の欠点は、政府がお金を使いすぎて、財政がマイナスになってしまうことが多いという点です。
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財政がマイナスになることを「財政赤字」と言います。
1970年代は、財政赤字が深刻になっていました。
そこで、新自由主義が支持を集めるようになったのです。
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新自由主義とは
新自由主義とは、「小さな政府」を目指す考え方です。
「小さな政府」では、「政府の仕事は、弱者を救うことではない」と考えます。
また、市場がうまく回れば、貧富の格差は資産と改善されると考えています。
なぜなら、「市場の自動調整機能」があるからです。
市場の自動調整機能の例を一つ紹介します。
例えば、誰かが、失業してしまったとします。
失業すると、賃金をもらえなくなるので、困ります。
その人は「安くてもいいから働きたい」と考えます。
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また、企業としては、「安く人を雇いたい」と考えています。
人を雇うと、より多くの商品を作ることができるので、人はたくさん雇えた方がいいです。
また、人を安く雇えると、企業としてはおトクです。
できるだけ安く人を雇いたいのです。
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ここで、安くてもいいから働きたい労働者と、安く人を雇いたい企業が出会うはずです。
こうして、失業問題は、自然と解決するのです。
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そのため、政府がわざわざお節介を焼く必要はないのです。
景気が悪い時に新自由主義が流行る理由
景気が悪くなると、新自由主義が流行る傾向にあります。
その理由は、財政赤字が深刻になるからです。
景気が悪くなると、政府が助けなければいけない弱者が溢れかえります。
すると、政府赤字は、どんどん大きくなります。
むしろ、「財政赤字になるのが当たり前」という状況がずっと続くようになります。
しかし、財政赤字は、いつかは、税金で解決しなければいけません。
日本の財政赤字は、積み重なって、今では1000兆円になっています。
未来の国民が税金を出し合って、1000兆円を払っていかないといけないのです。
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こんな状況では、弱者を助けている余裕などなくなっていきます。
そして「小さな政府」的な政策を行わざるを得なくなるのです。
景気が悪くなると、新自由主義が流行る理由は、弱者を助ける余裕がなくなっていくと、「お金持ちになれる人からお金持ちになっていけ」という思考になっていくからです。