生産手段の私有とは?社会主義を漫画で分かりやすく

マルクス
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生産手段の私有とは、モノをつくるための道具や施設を個人が持っていることです。

「生産手段の私有」についてのマルクスの考え方を、詳しく見ていきます。

生産手段とは

生産手段とは、物を生産するための「原料」と「工場・機械」のことです。

たとえば、パンの生産手段は、小麦粉やオーブンなどです。

生産手段は、ビジネスに必要な物のひとつです。

ちなみに、ビジネスに必要なものは、2つだけです。

生産手段と、労働力です。

私有とは

私有とは、個人が所有することです。

例えば、とある資本家が工場を持っていたら、その人は生産手段を私有しています。

逆に、工場が「国の所有物」であれば、それは私有ではありません。

政府が所有することを国有といいます。

3つの考え方

「資本主義」「社会主義」「共産主義」は、それぞれ、生産手段について、考え方が違います。

  • 資本主義は、生産手段を「個人」が所有すべきだと考えています。
  • 社会主義は、生産手段を「国」が所有すべきだと考えています。
  • 共産主義は、生産手段を「国民みんなでシェア」すべきだと考えています。みんなでシェアすることを「社会化」といいます。

生産手段を私有する経済を市場経済と言います。

市場経済を採用してるのは資本主義です。

資本主義のメリットとデメリットをみていきます。

資本主義

資本主義のメリットは、国が発展することです。

資本主義は、人は利己的でOKだと考えられています。

利己的とは、「自己中」ということです。

「全員が自己中でも、みんなが幸せになる」みたいなのが、資本主義の考え方です。

その理由は、自己中な人ほど努力をするからです。

資本主義では、生産手段の私有がOKです。

なぜなら、自己中な人は「自分だけお金持ちになりたくて」頑張るからです。

自分の取り分を自分のものにできるなら、自己中な人は努力をします。

こうして、努力する人が増えれば、結果的に、国が発展します。

自分の利益のことだけを考えて、お金儲けをしても、結果的にみんなが幸せになるのです。

しかし、資本主義にはデメリットもあります。

資本主義のデメリットは、労働者が搾取されることです。

資本家と労働者の立場が平等ではないため、資本家が労働者を搾取していまうのです。

労働者は、労働力という商品を、資本家に販売しにいきます。

資本主義には、市場原理があるので、労働者の賃金は、高すぎず、低すぎず、いい感じになるはずです。

市場原理が働いている理想の労働市場は、こうです。

売り手と買い手の立場が対等なら、市場原理の理屈が成り立ちます。

雇う人と、雇われる人が平等なチカラ関係なら、交渉して、お互いがハッピーになる賃金になるはずです。

これが、理想の労働市場です。

しかし、現実は違います。

労働力の売買は対等ではないのです。

現実の世界では、雇う人の方が強くて、雇われる方が弱いです。

なぜなら、雇われる人は、クビになれば生きていくことができないからです。

マルクスは、ここに問題点を感じました。

結局、生産手段を個人が所有してしまうと、それを「持つ人」と「持たない人」が生まれます。

そして、持ってない人は、我慢をして生きていくことになります。

実際に働いてるのは労働者なのに、労働者が貧しくなるというわけです。

そして、ごく一部の資本家だけが豊かになるのです。

資本主義は、豊かな人間よりも貧しい人間を多く生み出してしまう仕組みがあるのです。

社会主義

ここでマルクスは、社会主義が必要だと考えました。

つまり「生産手段を私有しない社会」の方が良いと考えたのです。

その理由は、政府が計画通りに商品を作るようになれば、搾取がなくて、過剰生産にならない社会になるからです。

計画経済の1つ目のメリットは、計画経済は、搾取がないことです。

生産手段を持たなくなった資本家は、労働者を搾取しなくなります。

そのため、資本家と労働者の格差がなくなります。

2つ目のメリットは、過剰生産がなくなることです。

市場経済だと、どれくらい売れるかどうか分からないので、つい生産しすぎてしまった、ということが起きます。

しかし、計画経済は、生産しすぎてしまうことがありません。

どれくらい売れるか、あらかじめ計画するからです。

計画的に物事を考えるので、限りある資源を人々の欲しいものに分配することができます。

しかし、デメリットもあります。

計画経済の1つ目のデメリットは、生産調整が難しいことです。

政府が計画を正確にできればいいのですが、計画を正確にするのは、難しいのです。

市場原理がないと、「より良い物を作ろう」というモチベーションが生まれません。

誰も欲しがらないものを作ってしまうこともあるのです。

2つ目のデメリットは、現場の人のアイデアが生かされないことです。

もっといい生産方法は、現場の人だけが知っていたりします。

しかし、計画経済では、政府が言ったとおりに動かないといけないので、現場の人のアイデアが生かされにくいです。

3つ目のデメリットは、政治が独裁化しやすいことです。

国民がどんな商品を作るのか、どんな商品を買うのかは、全て政府の人が決めます。

そのため、政府に権力が集まります。

国民どうしの格差はありませんが、政府の人と、国民の間で、力の差が生まれてしまうのです。

マルクスの意見

マルクスは、「生産手段の私有はよくない」と主張しました。

マルクスは、労働者が搾取されていることに、問題意識を感じました。

そして、その原因は、生産手段を持つ人と持たない人がいるからだと考えました。

また、解決策として、生産手段をみんなでシェアすることが大切だを考えました。

マルクスが許せないものは、労働者が搾取されていることです。

頑張って働いてる人ばかりが苦しい思いをしています。

その一方で、工場のトップの人は、ラクしてお金を稼いでいます。

1942年のマンチェスターの労働者の平均死亡年齢は17歳でした。

それほど、身体がボロボロになるまで、働かせれていたのです。

この過酷さは奴隷以下です。

奴隷の方が、まだマシな生活をしていたのです。

自由な労働者は、奴隷のように縄で縛られていません。

自分の意志で労働力を販売しています。

だから、労働者の賃金が低いのは、その労働者のスキルが低いからです。

なので、買い手には、何も責任はありません。

ただの民間人である資本家は、赤の他人の生活を心配する義務はないのです。

このような理論で、労働者は過酷な労働をさせられていました。

このような残念な社会になってしまった理由は、何でしょうか?

マルクスは、「生産手段が私有されているせいだ」と考えました。

生産手段を持ってる人は、他人を搾取します。

一方で、生産手段を持ってない人は、他人に搾取されます。

生産手段を一部の人が持っているため、持つ者と持たざる者の格差が生まれているのです。

この問題の解決策は、生産手段を私有させないことです。

生産手段を私有する人がいるから、搾取が生まれてしまいます。

そのため、生産手段は、社会化すべきだとマルクスは、考えました。

社会化とは、みんなでシェアするということです。

みんなで、生産手段をシェアして、計画経済を行えば、国民は平等になり、労働者は救われると、マルクスは考えました。

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