小さな政府を主張する経済学者は、税金が増えると、国民の働くモチベーションが落ちてしまうと考えます。
そのため、税金はなるべく低くあるべきだと考えます。
税金が低くなれば、政府は小さくなります。
つまり、弱者は政府に助けを求めるのではなく、自力で生活するべきだという考え方になっていきます。
しかし、税金が増えると、国民の働くモチベーションが落ちてしまうというのは本当なのでしょうか?
研究結果
アビジット・V・バナジーとエステル・デュフロが調べたデータによると、増税する前と後で、国民の働く量が変わることはありませんでした。
増税をすると国民が働くのを止めるかと言えば、そんなことはなかったのです。
増税することで、労働者が引退して田舎に引っ込んでしまう、というわけではなかったのです。
増税を理由に仕事をやめる人はいないのです。
また、税金が高い国と、低い国を比較してみても、分かることがあります。
例えば、北欧は、税金が高いですが、そのような国の国民が怠け者というわけではありません。
また、アメリカのような税金が低い国の国民が特別、働き者であるというわけでもありません。
つまり、税金が増えると国民の働くモチベーションが落ちるわけではないのです。
増税を毛嫌いする風潮
今まで、小さな政府を主張する経済学者は、増税は労働意欲を失わせると主張してきました。
税金が高いと皆んなやる気を失って、国の成長が止まってしまうと主張してきたのです。
しかし、その理論が広まった結果、多くの国民が増税を毛嫌いするようになってしまいました。
多くの有権者は増税に反対します。
その理由は、「自分の以外の誰か」が労働意欲を失うだろうと信じているからなのです。