労働者
まず、労働者は「働くか働かないか」をどのような判断で決めているのかを、確認します。
フリードマンは、その基準は「賃金が高いか安いか」だと考えました。
フリードマンがイメージする失業者とは「賃金が高ければ、働く」と考えているような人です。
言い方を変えると「失業者とは、安い賃金では働きたくない人」です。
このような人は「自発的失業者」と呼ばれます。
また、自然失業率は、その時の賃金の金額では、働きたくない人の量を表します。
さらに詳しいことを言うと、労働者は、賃金が高いことを求めているのではなく「実質賃金」が高いことを求めています。
実質賃金が高いとは
「実質賃金が高い」とは、どういう意味なのでしょうか?
実質賃金とは、その賃金で「どれくらい買い物できるのか?」
例えば、賃金が高くなっても、お店の商品も高くなると、買い物できる量は増えません。
この状態は、実質賃金が増えたとは言わないのです。
労働者が望んでいるのは「以前よりもたくさん買い物をできる状態」です
賃金が高くなってほしいし、かつ、お店の商品の値段は高くならないでほしいのです。
これを「実質賃金が増える」と呼びます。
実質賃金を高くしたい
労働者は、実質賃金を高くしたいと考えています。
もし、お店の商品の値段が高くなることがあれば、賃金の値上げを要求するのです。
インフレ期待
インフレ期待とは、お店の商品が明日も高くなるだろうなと予想することです。
インフレ期待が高まると、労働者は、賃金を高くするように求めます。
物価上昇分に見合うだけの賃上げを要求するのです。
賃金が高くなると
それでは、賃金が高くなると、どうなるのでしょうか?
まず、会社は、売り上げを、賃金と利益に分けています。
賃金が高くなるということは、その分、会社が得る利益は減るということです。
会社の利益が減ると、会社を維持することができません。
こうなると、労働者をクビにしなければいけなくなってしまいます。
結局、失業率は、元に戻ってしまうということです。
失業者を減らすために
失業者を増やさないようにするためには、商品の値段を高くするしかありません。
この結果、お店の商品は、どんどん高くなるし、労働者は賃金を高くするように要求し続けるようになります。
フリードマンの考え
フリードマンは、次のように考えました。
労働者は、賃金が値上げすることを望みます。
すると、会社としては、労働者をクビにするか、商品の値段を高くするしかありません。
こうして、失業率を下げるためには、インフレが加速してしまうのです。