自由貿易と、保護貿易は、どちらが大切でしょうか?
私たち先進国の労働者にとっては、自由貿易にてデメリットがあります。
なぜなら、賃金が下がってしまうからです。
この記事では、自由貿易が進むと、先進国の労働者の賃金がどんどん下がる仕組みについて解説します。
自由貿易
自由貿易とは、貿易を自由にやっていくということです。
自由貿易が進むと、人件費の安い途上国では、働く場所が増えます。
一方で、人件費の高い先進国では、働く場所が減ります。
なぜなら、企業は、より安く人を雇いたいからです。
自由貿易が進むと、工場が途上国に移転していくので、途上国の労働者の賃金が上がって、先進国の労働者の賃金が下がっていきます。
ピケティの意見
ピケティいわく、世界全体を見ると、貧富の格差は縮小しています。
1970年から2006年にかけて世界の貧困率は80%下がっています。
その理由は、自由貿易が進んでいるからです。
先進国にあった工場が、どんどん途上国に移動しているのです。
その結果として、途上国の人たちの賃金が上がっていて、先進国の労働者の賃金は下がっています。
このように、先進国と途上国の賃金が、近づいていく現象は、要素価格の均等化と呼ばれます。
これは、グローバルな格差を縮めるチカラです。
ストルパー=サミュエルソンの定理
次に「ストルパー=サミュエルソンの定理」について説明します。
これは、「要素価格均等化の定理」とも呼ばれています。
これは、自由貿易が進むと、先進国の労働者の賃金が下がることを説明するものです。
途上国の方が、賃金が安いので、商品を安く作れます。
もし、先進国が途上国から安い商品を大量に輸入すると、先進国の労働者の賃金は下がってしまうのです。
例えば、中国から安いTシャツを輸入すると、日本のTシャツを作る労働者の賃金は下がります。
中国の安い人件費で作った時と、日本の高い人件費でTシャツを作ると、日本で作ったTシャツの方が高くなります。
すると、中国のTシャツばかり売れるようになります。
中国のTシャツの方が安いからです。
つまり、日本のTシャツ屋さんが生き残れないのです。
グローバリゼーションは、先進各国に要素価格均等化の圧力を与えるのです。
自由貿易は、先進国の労働者の敵
自由貿易が進めば進むほど、先進国の労働者にとっては、ダメージが大きいです。
中国などの低賃金の国から、いろんな商品を輸入すると、それらの商品を日本で生産していた企業が生き残れなくなります。
アメリカでも、同じことが起こりました。
アメリカで車を作るより、中国から輸入する方が安く車を販売できてしまうのです。
そのため、アメリカの車産業は生き残れなくなりそうになっていました。
これの解決策として、アメリカの企業がやったことは、工場を中国に移転することです。
工場を中国に置いて、中国人を雇うことで、安く車を作れるようにしました。
つまり、中国人の働き口は増えました。
一方で、アメリカ人の働き口は減りました。
グローバル化が進むと、世界の格差は、縮小していくのです。
消費者としては嬉しい
このように自由貿易が進むことは、先進国にとって悪いことばかりではありません。
商品を安く買えるということは、消費者としては嬉しいことです。
自由貿易が進めば、商品をより安く買えるようになるのです。
移民
また、移民が増えると、より商品を安く買えるようになります。
途上国から先進国に来た移民は、安い賃金でも働きます。
おかげで、先進国の企業は安く人を雇えます。
移民が増えれば、先進国でも、安く商品を作れるようになるのです。
人件費を安く抑えることができれば、商品を安く提供することができます。
これは消費者としては嬉しいことです。
たしかに、ポピュリスト政治家は、選挙で勝つために、移民の恐怖を煽ります。
しかし、移民が低賃金で働いてくれることで、利益を得る人もいるのです。
能力が高い移民は国を成長させる
移民が先進国に与えるメリットは、他にもあります。
それは、能力が高い移民は国を成長させるということです。
例えば、アメリカでは、経済学の博士号の3分の2が移民の学生に授与されています。
また、イーロンマスクも移民であり、セルゲイ・プリン(グーグルの共同創造者)も移民です。
優秀な移民は仕事を生み出すのです。
また、移民の多くが低技能者ではなく、大卒です。
優秀な移民が来てくれることには、受け入れ国にとっても、メリットがあるのです。