ケインズは、景気をよくするためには、政府が借金をするべきだと主張しました。
どのようなやり方なのか、みていきます。
失業問題
ケインズが生きた時代は、失業問題が大きな問題になっていました。
失業者とは、働いていない人たちのことです。
働く場所が少ないせいで、働きたいのに働けない人がたくさんいました。
働かなければ、給料をもらうことができません。
そのままでは、どんどん貧しくなってしまいます。
失業問題を解決するためには、どうすればいいのでしょうか？
ケインズ
失業問題に対し、ケインズは「失業者に仕事を与えたら、失業問題は解決する」と考えました。
仕事を作って、人を雇うことで、失業者を減らすことができるのです。
しかし、不景気の時は、会社が人を雇えない理由があります。
それは、会社にお金がないからです。
お金がなければ、労働者に給料を払うことができません。
そのため、会社は労働者を雇うことができませんでした。
その問題に対して、ケインズは「政府が会社に仕事を発注する必要がある」と考えました。
政府が「お金を払いますから、水道を作ってください」などと、お願いすることを「発注する」と言います。
政府が公共施設を作るために仕事を発注すれば、発注を受けた会社は、政府から、お金を受け取ります。
お金があれば、新しく人を雇うことができます。
みんなが使う公共施設を作るために、政府がお金を払うことが必要だと、ケインズは考えました。
それを公共事業と言います。
公共事業とは、国民から税金を集めて、橋や水道を作ることです。
政府は、公共事業として、橋や水道などを作ります。
その時、一緒に働いてくれる労働者が必要になります。
つまり、失業者を雇います。
失業者が労働者に変わるので、失業問題が解決するのです。
また、労働者が給料をもらったら、買い物をするので、景気が良くなります。
政府にお金がない
しかし、そもそも政府もお金がありません。
政府にお金がなかったら、政府は会社に仕事を発注することができません
お金がないのに、どうやって仕事を発注すればいいのでしょうか？
公共事業は、税金を使って行われます。
しかし、国民から税金を集めたいと思っても、国民が貧しいと、税金を集めることができません。
政府にお金がなかったら、政府は公共事業をすることができません。
お金がないのに、どうやって公共事業をすればいいのでしょうか？
ケインズは、解決策を教えてくれました。
ケインズは、解決策として、借金することを提案しました。
国が行う借金は「国債」と呼ばれます。
国債とは、お金と交換できる紙です。
国債を発行すると、お金を生み出すことができます。
政府に、お金がないのなら、借金をするしかありません。
政府は、国債を発行することで、投資家から借金することができます。
借金している状態のことを、赤字財政といいます。
ケインズは「一時的になら、赤字財政になっても大丈夫だ」と考えました。
国債の仕組みについて説明します。
政府は、国債を発行することで、投資家から借金することができます。
赤字財政（政府にお金が足りない）の時は、政府は国債を発行します。
政府は、お金が足りない時は、投資家と呼ばれるお金持ちたちに、国債を売って、お金を集めます。
投資家から集めたお金は、5年後や、10年後など、ある一定の期間が終わったら、投資家に返す必要があります。
財政赤字
借金している状態のことを、赤字財政といいます。
赤字財政とは、入ってくるお金より、出て行くお金の方が多い状態です。
投資家から借りたお金は、返す必要があります。
借りたお金は返す必要があります。
どんどん借金をしてしまって、お金を返すことができるのでしょうか。
そんな疑問にも、ケインズは答えてくれています。
ケインズは、「景気が良くなれば、問題ない」と教えてくれています。
なぜなら、景気が良くなると、政府の税収が増えるからです。
景気が良くなると、国民は、もっとお金を使うようになります。
お金を使うようになるということは、国に収める税金の量が増えるということです。
国に収める税金の量が増えれば、国は、借金を返すためのお金を用意できるのです。
政府は、不況を打破するために、投資家からお金を借りて、そのお金で公共事業をして、景気を良くしようと考えました。
ケインズ経済学
ケインズは、赤字国債を発行して銀行や国民に買ってもらい、そのお金で公共事業を増やそうと考えました。
政府が公共事業を発注すれば、会社は、人を雇う余裕が出てきます。
会社が人を雇うと、働いた人は給料をもらえます。
給料をもらった人は、買い物をするので、政府に税金を納めます。
こうして、景気が良くなるのです。
赤字国債は借金です。
そのため、いつかは返さなければなりません。
公共事業で景気がよくなれば、税収も増えます。
そのため、景気が良くなったら返せるのです。
つまり、一時的に赤字は出るけれども、後で借金を返せば大丈夫という考え方です。
