貿易差額主義とは?問題点をイラストで分かりやすく解説

自由貿易
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貿易差額主義

貿易差額主義とは、輸出を増やして、輸入を減らす事で国を豊かにする政策です。

「貿易」とは「輸出と輸入を合わせたもの」です。

「差額」とは「輸出額と輸入額のギャップ」のことです。

「主義」とは「考え方」ということです。

貿易差額主義とは、貿易の差額で利益を上げて、国を豊かにするための考え方です。

貿易の差額について

貿易の差額というのがどういうことか見ていきます。

まず、輸出とは、商品を海外に売ることです。

輸出をすると、お金がもらえます。

一方で、輸入とは、商品を海外から買うことです。

輸入をすると、お金が海外に出て行ってしまいます。

貿易をすると、お金が入って来たり、出て行ったりします。

もし、輸入と輸出を同じ量だけすれば、プラマイゼロになります。

プラマイゼロなので、貿易差額はゼロです。

もし、輸入よりも、輸出をたくさんすれば、プラスです。

貿易差額が生まれます。

ちなみに、輸入額の方が多い時は、貿易差額はマイナスです。

マイナスの時は「貿易赤字」と呼ばれます。

国は豊かにするためには、輸出を増やすことが大切です。

そのため「輸出を増やして、輸入を減らそう」と考えられています。

貿易差額主義の問題点

しかし、貿易差額主義には問題点があります。

それは、全ての国が「輸出を増やして、輸入を減らす」ということは、できないという点です。

どこかの国が輸出をすれば、必ず別の国に輸入されます。

例えば、フランスがイギリスにワインを輸出したとします。

すると、フランスは輸出をしたので儲かります。

しかし、イギリスは、輸入をしたので、お金を失います。

片方が輸出すれば、もう片方は輸入することになります。

全ての国が輸出だけをすると言うのは不可能です。

そのため、全ての国が同時に「輸出を増やして、輸入を減らす」ということはできないのです。

相手国を貧しく

輸出をたくさんすれば、自分の国が豊かになる一方で、相手の国を貧しくさせることができます。

例えば、フランスがイギリスにワインを輸出したら、フランスは儲かります。

そして、イギリスは、お金を失います。

これを続けていれば、フランスはイギリスを貧しくさせることができます。

イギリスは、フランスのせいで貧しくさせられていると感じるようになりました。

当時は、イギリスとフランスは、たびたび戦争が起きていました。

もし、イギリスが貧しくなってしまったら、次の戦争で負けてしまうかもしれません。

そのため、イギリス政府は「フランスに儲けさせてはいけない」と考えました。

そして、フランスの商品の輸入を制限しました。

輸入制限で困る人

輸入制限で困るのは、ワインを売っているフランス人です。

なぜなら、ワインが売れなくなるからです。

しかし、フランス人だけではありません。

イギリス人の国民も困りました。

そのうちの一人はアダムスミスです。

アダムスミスを含め、多くのイギリス人は、フランスのワインが好きでした。

しかし、イギリス政府の考え方のせいで、フランスのワインが手に入らなくなっていました。

輸入しないようにされると、今まで買っていた商品が買いづらくなります。

しょうがなく、あまり人気のない美味しくないポルトガルのワインで我慢しなければいけなくなりました。

アダムスミスは、この状況は良くないと考えました。

そして「イギリスでワインを作るのは無理なのだから、フランスから買おう」と言いました。

イギリスは寒いので、ワインを作りづらい環境です。

たしかに、大量のヒーターを用意して、暖かい農場を作れば、イギリスでもワインを作れるかもしれません。

しかし、そうやって作ったワインは、フランスのワインの30倍の値段になると思うと、アダムスミスは言いました。

そのため「買った方が安いものは買おう!」と主張しました。

たしかに、フランス人から買うと、フランス人が儲かってしまいます。

外国人が儲かるのを見るのは悔しいです。

しかし、それに嫉妬するのは、良くありません。

イギリスでワインを作ったとしても、イギリスが貧しくなるだけです。

フランスを貧しくさせたいからといって、フランスのワインの輸入を禁止したら、イギリスが損をしてしまうのです。

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