『貧乏人の経済学』という本を参考に、途上国の貧困問題を救ったワイクリフ・オティエノの話を漫画を書きます。
貧乏人の経済学
ワイクリフ・オティエノが訪れた貧困の村が抱える問題点は、肥料を買うお金がないことでした。
肥料を買えば、作物の収穫量が増えることが分かっていても、肥料を買うお金がなかったのです。
そこで、まず、ワイクリフ・オティエノは、農村地域で、肥料を無料で提供しました。
1年目は、村人たちは、無料で肥料を使うことができました。
まずは、無料で肥料を使ってもらうことで、肥料の効果を理解してもらおうとしたのです。
そして、その時の収穫量は大幅に増加したため、村人たちは、肥料の素晴らしさを理解することができました。
肥料を使うことで、収穫量が増えて、より多くのお金を稼ぐことができたのです。
村人たちは、そのお金を貯金して、「来年のために肥料を買う」と約束しました。
しかし、その次の年
大半の農民は肥料を使わない農法に戻ってしまったのです。
別に肥料の効果を見て感心しなかったわけではありません。
大半は納得し、これからは絶対に肥料を使うと、言ったのです。
そして、そのためにお金も貯金しました。
しかし、彼らは肥料を買いませんでした。
「なぜ結局肥料を使わなかったのか?」
農民の何人かに訊いてみると、作付けの時の肥料を使う時に、十分な手持ちのお金がなかったのだと答える人がほとんどでした。
買いたいけど、買えなかったのです。
しかし、ワイクリフ・オティエノは、疑問に思いました。
なぜなら、肥料を買うのに、大金は必要ないからです。
肥料は少量ずつ買えます。
だから、ごくわずかでも貯金があれば、肥料を買うことができます。
それに、去年、収穫が増えたおかげで、貯金も十分にあるはずです。
それなのに、なぜか、農民たちは「お金がない」と答えたのです。
その理由は、農民たちは収穫期から作付けまでの間に、ごく少量のお金であっても、ついつい使ってしまうからです。
家でお金を貯めるのは難しいというのが、彼らの説明でした。
病気や、服代や、お客さんの食事代など、いろんなものにお金が必要です。
それを断るのも辛いのです。
そこで、ワイクリフ・オティエノは、その解決策を考えました。
それは
肥料を買うかどうかの判断を、いつも収穫直後に行うということです。
今までのやり方では、収穫が終わった後、学費や一家の食事代などにお金を使っていました。
そして、肥料が必要な季節が来たら、肥料を買うようにしていました。
つまり、お金が余ってた時だけ、肥料を買うというやり方でした。
しかし、家にお金があると、何かしらにお金を使ってしまいます。
そのため、あらかじめ、肥料を買っておくことを提案しました。
収穫後、農民たちの手元にお金があるうちに、肥料としか交換できないバウチャー(引き換え券)を買ってもらうことを実施しました。
その結果、肥料を使う農民の比率は5割増えたのです。
そこで、気になることは、肥料を買った後で、誰かが病気になったらどうするのか、という問題です。
しかし、実際になってみると、お金が必要になれば、ちょっと頑張って働くことができました。
問題が起きた時に、お金が手元になかったとしても、頑張って、なんとかすることができるのです。
私の意見
自身、バングラデシュに1年留学しだことがあります。
そのうちの2ヶ月はジェナイダというWi-Fiもない農村地域で、生活しました。
私自身の経験を振り返りながら、本の中に出てきた「家でお金を貯めるのは難しい」という意見について、補足したいことがあります。
というのも、私の個人的な意見では、途上国の貧しい村では、日本と違って、本当に貯金が難しいからです。
その理由は、貧しい村では、「助けれるタイミングで人を助ける」という考え方があるからです。
お金がある人が、ない人にお金をあげる
いうのを、お金がなくなるまで続ける。
「自分も助けてもらったのだから、お金があるうちは他人を助ける」という感覚がとても強いです。
この文化があるから、基本的に、お金がない状態が「通常」となるのです。
これは、彼らが、劣った文化を持っているからではありません。
いつも、誰かが病気なり、誰かが栄養失調であり、誰かが失業し、いろんな災難が起きる村で生きていれば、助け合って生きるしかないわけです。
お金がある人が、ない人を助けるのが普通です。
お金があるのに人を助けないのは、あまりに世間体が悪いのです。
その結果、何かを買いたいタイミングで、お金がない、となってしまうのです。
しかし、この実験のように、手元にお金があるうちに、肥料と交換するためのバウチャー(引き換え券)を買ってもらうのは、素晴らしいアイデアです。
お金を持っているうちは「他人を助ける」という義務が発生します。
しかし、手元のお金を、肥料としか交換できないバウチャーに変えてしまえば「他人を助ける」という義務からも逃げることができます。
そのため、あらかじめ、肥料を買っておくことで、来年も肥料を使って農作業をすることができると思いました。