アダムスミスは、植民地支配は、良くないと考えました。
理由は2つです。
・植民地を維持するコストが高いから
・利益を得るのは、独占会社だけだから
アダムスミスの主張を詳しくみていきます。
植民地を守るにはコストがかかる
植民地を守るにはコストがかかります。
戦争が起きたら、植民地を守るための費用がかかりますし、戦争がない時も、民事的・軍事的施設を維持する費用がかかります。
植民地を統治することは、お金がかかることなのです。
植民地を防衛するためと、維持するためにお金がかかる割には、植民地からは、何も得られてないと、アダムスミスは言います。
そのため、植民地の防衛という負担を取り払うために、植民地を手放すべきだとアダムスミスは主張します。
利益を得るのは、独占会社だけ
当時は、東インド会社が、インドとの貿易を独占していました。
つまり、東インド会社が独占会社だったのです。
独占とは、そのお店から買うしかない状況のことです。
つまり、他のお店には売ってないということです。
そのため、どんなに高くても、その会社の商品を買うしかありません。
その商品がどこにでも売ってれば、より安く売ってるお店で買えばいいです。
しかし、商品が「そのお店でしか売ってない」という状況なら、お客さんは、高くても「そのお店」で買うのです。
イギリス国民は、高い商品を買わないといけないということです。
独占とは、お客さんが損する仕組みなのです。
当時は、東インド会社が貿易を独占していたため、東インド会社がとても儲かっていました。
東インド会社だけが、お金を吸収するのです。
なぜ独占していたのか?
それでは、なぜイギリスは、インドとの貿易を独占していたのでしょうか?
それは、隣国を困らせたいからです。
他の国を貿易から締め出すために、植民地貿易を独占していたのです。
つまり、イギリスは、フランスなどの隣国を貧乏にさせたいと考えていました。
なぜなら、フランスが貧乏になると、イギリスがお金持ちになった気分になれるからです。
フランスの損失は、イギリスの利益だと考えられていました。
そのため、「イギリスだけが植民地と貿易ができる」というルールをつくることで、他国を困らせようとしました。
実際に起きたこと
しかし、実際には、イギリス国民が迷惑を被りました。
この独占会社によって、イギリス国民は、商品を、高く買うことを余儀なくされるようになったのです。
アメリカや、インドの植民地統治の独占は、消費者(お客さん)を困らせる結果にさせてしまったのです。
まとめ
国民は、植民地の維持と防衛のための費用を負担しています。
たしかに、独占によって、独占会社は儲かってます。
しかし、そのわずかな儲けを得るために、税の負担が増えているのです。
植民地を独占しても、被害を被るのは、自国民です。
国民にとっては、税の負担が大変なのです。
しかし、独占会社には、この点が分からないで、目先の独占的利益の追求にのみ気を奪われています。
これは、東インド会社の人が性格が悪いからではなくて、東インド会社の独占的制度そのものが悪いからなのです。
アダムスミスの意見
植民地を独占してるせいで、困っているのは、イギリス人たちです。
植民地を守るためにお金を使うし、商品を高く買わないといけないわりには、メリットがないのです。
植民地を独占しても、デメリットの方が大きいため、植民地は放棄するべきだと、アダムスミスは考えました。
反論
ここまで読んだ人の中には、こんな反論があるかもしれません。
「会社が儲かれば、労働者の賃金が増えるから、会社が大きくなるのはいいことだ」と考える人もいるかもしれません。
しかし、そんなことは、ありません。
なぜなら、会社は、利益を労働者のみんなで山分けしてるわけではないからです。
資本主義の中では、労働者の賃金は、安く買い叩かれます。
会社が大きくなっても、決して働く職人の利益にはなりません。
植民地を手放すべき
アダムスミスは、植民地を早く手放すべきだと主張しました。
なぜなら、植民地支配の独占は、貧富の差を拡大させるだけだからです。