重商主義のデメリットと、アダムスミスの思想を漫画で分かりやすく説明

アダムスミス

アダムスミスは、重商主義に反対した人です。

どのような考え方を持っていたのでしょうか?

重商主義については、こちら↓の記事で書かさせていただきました。

貿易

重商主義では、輸出はたくさんした方が良いと考えられています。

なぜなら、「輸出すること」=「金銀をもらうこと」だからです。

ものを輸出したら、代わりに金銀をもらいます。

金銀が、国を豊かにすると考えられていました。

しかし、この考え方には、デメリットがあります。

それは「輸出が大切で、輸入がダメ」という考え方になってしまうことです。

アダムスミスは、そんな重商主義を批判しました。

なぜなら、金銀だけを増やせばいいわけではないです。

大切なものは、金銀だけではありません。

お金だけではなくて、モノも富なのです。

輸出

重商主義は、輸出を重視します。

当時は、輸出をもっと増やすために、輸出奨励金というものがありました。

輸出奨励金とは、輸出を頑張る企業に、お金をあげるということです。

しかし、アダムスミスは、輸出奨励金に反対しました。

アダムスミスが反対した理由は、輸出奨励金は、それをもらわないと続けられないような産業に与えられるからです。

それは、利益の少ない産業にお金をつぎ込むことになります。

しかし、利益の薄い分野にお金を与えるより、利益が生まれやすい分野にお金を与えた方が成果を出しやすいです。

頑張っても成果が出ないものを応援するより、ちょっと頑張れば成果が出るものを応援した方がいいのです。

 

アダムスミスは、利益率の高い産業に国の力を集中させ、利益率の低い産業は、諦めた方がいいと考えました。

そうすることで、国の全体の利益率が高くなり、国は豊かになるということです。

貿易戦争

輸出をたくさんして、輸入をしないようにするには、関税が便利です。

関税とは、輸入品にかける税です。

輸入品に関税をかけると、輸入品の値段が高くなるので、売れづらくなるのです。

しかし、アダムスミスは、高い関税に反対しました。

なぜなら、高い関税は「貿易戦争」を引き起こすからです。

しかし、貿易戦争はお互い損をするのです。

当時のイギリスは、フランス産の商品に、高い関税をつけました。

なぜなら、フランスからの輸入額が大きかったからです。

そして、フランスもイギリスからの輸入品に高い関税をかけました。

こうして、お互いにお互いの輸入品に高い関税をかける状態になったのです。

両国の国民は、相手の国の輸入品を買う際に、かなり高い代金を支払うようになりました。

つまり、得をする人がいないのです。

両国のお客さんが損をするだけです。

そのため、アダムスミスは、高い関税に反対しました。

買った方が安い

また、アダムスミスが関税に反対した理由は、もうひとつあります。

それは、海外から安く買えるモノを国内で生産させると、効率が悪いという理由です。

例えば、自分の靴を自分で作るより、買った方が安いのなら、買う方が賢いです。

これと同じで、海外から買った方が安いのなら、買う方が賢いのです。

嫉妬

当時の人々は、隣国が儲かると、嫉妬してしまっていました。

隣国が儲かると、自分たちが損をしたような感覚を感じてしまうのです。

「”相手の得は自分の損だ”と考えてはいけない」と、アダムスミスは言いました。

どこかの国からたくさん輸入すると、相手国が儲かります。

たしかに、相手国が儲かると、悔しいです。

だから、輸入しないようにしようと、考えてしまいがちです。

しかし、輸入をやめると、代わりに別の国から高い商品を買ってしまうことになります。

二国間の貿易収支が赤字だとしても、その国からの輸入をやめてしまうことは、賢くないのです。

もし、お酒でフランスが繁栄したとしても、それは、イギリスが不利になるということではないのです。

フランス産が、ポルトガル産より、安いのであれば、フランス産を選んだ方が、イギリスにとって有利です。

安いところから買うことが、1番賢い選択なのです。

さらに言うと、イギリスは、むしろ、隣国のフランスが儲かることを喜んだ方がいいかもしれません。

なぜなら、フランスが儲かれば、フランスはイギリスから、もっと輸入するようになるかもしれないからです。

もし、フランスが貧乏だったら、イギリスから輸入をするお金の余裕がないかもしれません。

しかし、フランスが儲かっているから、フランスはイギリスから商品を輸入をするお金の余裕があります。

隣国(フランス)が儲かることは、イギリスにとっても、良いことなのです。

独占

アダムスミスの時代は、個人が幸せになることより、国家が金銀を貯め込むことの方が重要でした。

また、労働者が幸せになることより、企業が儲かることの方が重要でした。

そして、企業を成長させて、海外との競争で勝つことを重要視していました。

海外に勝つためには、強い企業を作ることが大切でした。

そのため、国の富を特定の企業に集めて、特定の企業だけが儲かるようにして、その企業を成長させました。

特定の企業に利益を独占させることで、国際競争力をつけようとしていたのです。

重商主義では、他の国に勝てるようにするために、特定の企業に富が集まるようにしました。

しかし、このように独占が起きてしまうと、他の企業が育たなくなっていきます。

他の企業が潰されてしまうことで、自由に競争できなくなってしまうのです。

重商主義は、国家の富を増やすために、自由競争ができない状況を作っていました。

しかし、自由競争をなくしてしまうことには、デメリットがあります。

自由競争ができなくなることのデメリットは、商品の価格がとても高くなることです。

独占があると、そのお店から買わなければいけません。

そのお店の商品がどんなに高くても、そのお店から買うしかないのです。

商品がすごく高くても、そこでしか買えないのです。

植民地

また、アダムスミスは、植民地に反対しました。

なぜなら、植民地を広げたり維持をするには、お金が必要だからです。

当時の人々は、植民地は「利益」になると考えていました。

そのため、たくさんのお金を使ってでも、植民地を広げてきました。

しかし、植民地を広げたのに、税を集めることが、あまりできませんでした。

イギリスは、植民地がいくら増えても、税金で儲けることができなかったのです。

そのため、植民地は国の重荷になっていると、アダムスミスは言いました。

当時、アメリカに移動したイギリス人は、たくさんいました。

しかし、移住した人たちはイギリスに、税も兵も与えなかったのです。

だから、植民地は、イギリスにとって「重荷」でした。

そのため、アダムスミスは、植民地を手放すべきであると考えました。

または、合併という案もありました。

「植民地を合併させる」とは、現地の人にも自国民と同じくらいの権利と保護を与えるということです。

アダムスミスは、植民地を合併して、本国と同じような責任を持った統治をした上で、税をもらおうと考えました。

最後に

アダムスミスの時代に、産業革命がおきて、自由貿易主義が広がっていきます。

自由貿易主義については、こちら↓の記事で書かさせていただきました。

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