労働者の賃金が上がると、経済はどうなるのでしょうか?
アダムスミスやケインズは、良くなると考えて、フリードマンは悪くなると答えています。
それぞれの意見を見ていきます。
労働市場
まずは、労働市場について説明します。
労働市場には「労働需要」と「労働供給」があります。
労働需要
労働とは「はたらくこと」です。
需要とは「ほしい」という気持ちのことです。
労働需要とは、企業側の「労働者を何人雇いたいのか」という気持ちのことです。
労働を需要するのは、企業です。
労働供給
供給とは「はたらいてあげること」です。
サラリーマンは、労働を供給しています。
労働供給とは「労働者として何人が働きたいのか」ということです。
労働をどれだけ企業に供給したいのか、ということです。
「労働量」と「労働者の数」は、同じ意味です。
働きたい人の人数ということです。
労働を供給するのは、家計です。
「家計」とは、それぞれの家のことです。
家計は、労働者として働いたり、お客さんとして買い物をしたりします。
名目賃金
次に、賃金についてです。
名目賃金とは「労働者の賃金のこと」です。
単位は、円です。
例えば、ある人が1000円の賃金をもらったら、その人の名目賃金は、そのまま1000円です。
実質賃金
次に、実質賃金についてです。
実質賃金とは「もらった賃金で、どれだけ商品が買えるのか」ということです。
単位は、商品が何個分か、です。
ある人が、1000の賃金をもらったら、その1000円でどれくらいの買い物ができるのか、が実質賃金を表します。
労働需要のグラフ
次に、労働需要のグラフの見方を解説します。
労働需要曲線は、企業の気持ちです。
実質賃金が高い時というのは、企業がたくさんお金を「払う」時です。
企業が労働者に払わなければならない賃金が高い時です。
賃金が高いなら、あまり沢山の人を雇えません。
雇う人の数は減ります。
一方で、実質賃金が下がれば、人件費が抑えられます。
企業としては、安い賃金で、たくさん人を雇いたいです。
労働需要量が高くなります。
労働供給
次に、労働供給についてです。
時給が高いなら働きたい人の数が増えます。
実質賃金が上がれば、働きたい人は増えます。
一方で、実質賃金が下がれば、働きたい人が減ります。
アダムスミスの考え
アダムスミスは、労働者の賃金は上がるべきだと主張しています。
なぜなら、病気な人より、健康な人の方がよく働けるからです。
また、アダムスミスは、貧しい家庭の子どもたちが学校に行くことで、国が成長すると考えました。
国民の大半を占める貧困層が繁栄してこそ、国家が繁栄するのいうのが、『国富論』の主張なのです。
ケインズの考え
ケインズは、不況の時も、賃金減らすべきではないと主張しています。
なぜなら、賃金を減らしたら、景気が悪くなると考えていたからです。
お店は、「買い物をしてくれるお客さん」がいるから儲かります。
国民がお金を持ってる時に、景気は良くなるのです。
だから、賃金は下げてはいけないとケインズは主張しました。
賃金を下げると、買い物をするお客さんが減ってしまい、お店のモノが売れなくなり、経済が回らなくなるからです。
フリードマンの考え
一方で、フリードマンなどの新自由主義者たちは、今の最低賃金は高すぎると考えています。
賃金が高くなれば、国民は、値段の高い商品も購入できるようになります。
そしたら、お店の商品の値段がどんどん高くなって、インフレになってしまうかもしれません。
インフレになったら、人々の生活に悪影響があるのです。
また、最低賃金が高いと、負担を背負うのは企業(賃金を払う側)です。
フリードマンは、企業に負担を背負わせるべきでは無いと考えます。
なぜなら、国民の中で一番お金を稼いでくれるのは、裕福層(企業)だからです
裕福層を優遇した方が国は成長すると、フリードマンは、考えているのです。