累進税率を低くすると、経済が成長するという理屈が間違っている理由とは?

税金
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累進課税とは、お金をたくさん稼いでいる人からたくさん税金を集めようという考え方の税金です。

もし「累進性が強くなると、お金を稼いだ方が税金を取られるので、働くモチベーションがなくなってしまう」と言われています。

しかし、その考え方は間違っているという意見もあります。

それぞれの意見を解説します。

税金とモチベーション

新自由主義の考え方では、税金の累進性が強くなると、働くモチベーションが下がると言われています。

税金の累進性が強くなるというのは、お金を稼いている人からゴッソリと税金を取るということです。

そして、貧しい人からは、あまり税金を取らないということです。

もし、お金を稼いでいる人から税金をゴッソリ取ってしまうと、お金持ちは、悔しくなって、働かなくなるかもしれません。

また、働かなくてもお金がもらえるなら、人々は働かなくなってしまうのではないか?と心配しているのです。

反論

しかし、そうではない考え方もあります。

自分の身の回りにいるお金持ちの人を思い出してください。

彼らは、税金の税率をチェックして、働くのをやめたりしているでしょうか?

していないと思います。

働く人は、国の税の税率がどんな状況でも、働いていると思います。

働くか、働かないかの判断をする時に、税率を気にする人はいないのです。

たしかに、ゴッソリ税金を取られると、残念な気分になるかもしれません。

しかし、だからといって、仕事を放り出すほどの人はいないのです。

実際の社会

1980年代の日本は、所得税の税率は最高70%でした。

つまり、1980年代の日本では、お金を稼いでる人から、ゴッソリと税金が取られるようになっていたのです。

しかし、1980年代の日本人のお金持ちは、働くモチベーションのない人ばかりだったのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。

税率の累進性は、人が働く時のモチベーションに影響を与えていないのです。

他にも、アメリカでは、1970年代に累進課税率を高くした後、1980年頃から急に累進課税を低くしました。

しかし、その時期の一人当たりの成長率は、ずっと同じままでした。

所得税の累進課税が変化しても、成長率に影響を与えなかったのです。

お金持ちの引越し

しかし、累進課税を減らすと、海外のお金持ちが引っ越しに来てくれます。

その理由は、累進課税が低いとお金持ちの人は、嬉しいからです。

累進課税が低い国に住んでいれば、稼いだお金を税金でどんどん取られることがなくなります。

お金持ちの人は、できるだけ、累進課税が少ない国に住みたいと考えています。

そのため、台湾やシンガポールやカナダなどの政府は、累進課税率を下げて、お金持ちを呼び寄せています。

これは、租税競争と呼ばれています。

逆に言うと、日本の累進課税が高いままだと、お金持ちの人たちが海外へ逃げてしまうのです。

しかし、累進課税を低くすると、貧富の格差が広がってしまいます。

この状況を私たちは、どうしたら良いのでしょうか?

ピケティの提案

ピケティが提案したことは、世界中の国々が協力し合って、累進課税率を高くすることです。

ピケティは、貧富の格差を是正するには、累進課税が必要だと考えています。

しかし、累進課税が多い国と少ない国があれば、お金持ちの人たちは、累進課税が少ない国に移動してしまいます。

そのため、世界的に協力しあって、累進課税の税率を全ての国で同じ程度にしていくことが必要なのです。

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