合理的期待仮説を主張したのはハイエクです。
なぜ、そのような考えが生まれたのか、ケインズの時代まで遡って見ていきます。
ケインズの主張
ケインズは、イギリスの経済学者です。
ケインズは、「国内のお金を増やすと、景気が良くなる」と考えました。
その理由は、国内のお金を増やすと、国民がお金を持ってる状態になるからです。
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それは、国民がお金を持っている状態になるということです。
国民がみんなお金持ちになるということです。
もともと貧しくてお腹が空いていた人が、お金持ちになります。
そうなれば、まずは、パンなどの食べ物を買うはずです。
それから、今まで買えていなかった服などの日用品などを買います。
国民は、お金を得ると、買い物をするのです。
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パンを買う人が増えます。
服を買う人が増えます。
日用品を買う人が増えます。
こうなると、お店は儲かります。
買い物をする人が増えると、お店が儲かるのです。
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お店は、儲かると、働いている人の賃金を高くします。
また、さらに多くの人を雇います。
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お店で働く人の数が増えます。
つまり、今まで働いていなかった人(失業者)も働くようになります。
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失業者が労働者になります。
労働者が増えるということは、失業者が減るということです。
つまり、失業率が下がります。
また、労働者が増えると、パンの生産量が増えます。
今までよりも、たくさんのパンが作れるようになります。
パンが売れる時期は、パンをたくさん作るのです。
このように、国内のお金が増えると、たくさんのメリットがあります。
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人々は、賃金が高くなると、嬉しくてたくさん買い物をします。
お金持ちになったと錯覚して、いつもよりたくさん買い物をしてしまうのです。
ここまでのまとめをします。
国のお金の量が増えると、賃金が上がったと誤解します。
いつもより多めに買い物をするので、失業率が低下し、生産量は増大します。
しかし、これは、貨幣錯覚です。
貨幣錯覚
貨幣錯覚とは、人々がお金の価値について、実質値ではなく、名目値で判断することです。
賃金の価値を考える時に、考え方が2つあります。
1つ目に、名目値です。
名目値とは、見たままの数字ということです。
2つ目に、実質値です。
実質値とは、物価を考慮した数字です。実質値では、「どのくらい買い物ができるのか」を知ることができる数字です。
例えば、賃金が100万円から200万円に上がったら嬉しいです。
でも、物価も2倍になっていたら、どうでしょうか?
お店の商品の値段も2倍になっていたら、買い物できる量は変わりません。
賃金と物価が2倍になったら「名目値は上がったけど、実質値は上がっていない」ということになるのです。
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世の中のほとんどの人は、名目値で判断をします。
なぜなら、実質値を計算するのは面倒くさいことだからです。
名目値だけで判断することを、「貨幣錯覚に陥っている」と言います。
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名目値だけで判断する人は、賃金が上がると喜びます。
錯覚状態に陥っている間は、賃金が上がっただけで幸福感に包まれるのです。
なぜなら、人は、非合理的だからです。
賃金が上がっていたら、嬉しくて、どんどん買い物をしてしまいます。
そして、買い物をする人が増えたら、お店のモノは、たくさん売れるようになります。
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お店の商品がたくさん売れる時は、商品の値段は高くなる傾向にあります。
物価がどんどん高くなっている時は、人々はたくさん買い物をします
その理由は、「明日はもっと値上がりしている可能性がある」からです。
買いたい商品の値段が上がると予想してされてる時は、なるべく早めに買おうとするものなのです。
ハイエクの意見
ハイエクは、貨幣錯覚は、長くは続かないと考えています。
合理的な人は、錯覚から目を覚ますはずなのです。
もし、国民がみんな一気にお金持ちになったとします。
そうなると、お店の商品は高くても売れるようになります。
つまり、みんなが一斉にお金持ちになったら、物価が高くなるのです。
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これでは、買い物できる量は変わりません。
物価が高くなっているときは、人々はたくさん買い物をたくさんしようとしません。
合理的な人は、物価が上がっている時は、買い物を控えるのです。
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物価と賃金が同時に上がったら、買い物できる量は変わりません。
そのため、人々は、買い物の量を増やすわけではありません。
そのため、お店のモノが爆発的に売れるようになることもありません。
生産量も増えません。
失業者が減るわけではありません。
インフレが実際に起こると、人々は新しい通貨価値を理解して、それに応じて動くようになるのです。
そのため、失業率や生産量はもとの状態に戻ります。
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合理的期待仮説
もし、国民が合理的であれば、物価がどんどん上がっていたとしても、国民は慌てて買い物をすることはありません。
その理由は、「明日はもっと賃金が高くなる可能性がある」からです。
賃金が高い時期に商品を買った方が、実質的に得をしています。
賃金が高くなる可能性が高いなら、慌てて買い物をする必要はありません。
なぜなら、合理的な人は実質的な値段を考えるからです。
ハイエクのケインズ金融政策への指摘は、合理的期待仮説と呼ばれるようになりました。
この考え方は、新古典派に受け継がれました。