ピケティは「トリクルダウンは存在しない」と主張しました。
ピケティは、どんなことを主張したのでしょうか?
見ていきます。
トリクルダウンとは
トリクルダウンとは、「お金持ちになれる人から、お金持ちになろう」という考え方です。
シャンパンタワーにお酒を注ぐと、いづれは、すべてのグラスにお酒が注がれるのと同じで
お金持ちになれる人がお金持ちになれば、やがては全体を潤して、格差がなくなるのです。
トリクルダウンのもともとの意味は「したたり落ちる」です。
新自由主義と言えば、トリクルダウンです。
経済学におけるトリクルダウンとは、富める者から富んでいけば、いずれ富の格差がなくなるという考え方です。
お金持ちがさらにお金持ちになれば、やがて富は全体をうるおし、格差はなくなっていくということです。
『21世紀の資本』
新自由主義者たちは、「資本主義を放っておけば、格差が縮小する」と考えてています。
一方で、ピケティは、「資本主義を放っておけば、格差が拡大する」と考えています。
ピケティは、資本主義の歴史のうち140年をデータにしました。
データによると、資本主義により、貧富の格差が、拡大した時期もあるし、縮小した時期もあります。
50年くらいは平等化しています。
残り90年が不平等化しています。
どちらが例外かは分かりません。
格差が拡大した時期というのは、アメリカでは、1920年代です。
アメリカは、第一次世界大戦に参加し、とても儲けていました。
この時期は、トップ10%が国民所得の50%以上を受け取るようになりました。
格差が縮小したのは、1930年代の世界恐慌や、そのあとの第二次世界大戦の時期です。
さらに、そのあと、みんなが貧しくなった1950年〜1980年に、所得格差が最も小さくなりました。
しかし、1980年以降、アメリカの所得格差は再び急上昇しています。
この時期というのは、小さな政府が支持された時期です。
ピケティは、格差が縮小してた時期が例外で、資本主義では格差が拡大するのが普通だと主張しました。
世界大戦があった時期は、みんなが貧しいため、格差が平等になったけど、
資本主義では「基本的には」格差が拡大するのが普通だというのです。
ピケティの意見
ピケティは、逆に、お金持ちがどんどんお金持ちになっていくのを放置すれば、貧富の格差はますます拡大すると言っています。
なぜなら、企業で儲けが出た時に、社長の給料が増えれば、従業員の給料は減るからです。
ピケティは、トリクルダウンは根拠がないと主張しています。
ワイングラスは、キャパシティがあって、いつかはワインか溢れます。
しかし、人がお金を蓄える時は、キャパシティがないので「溢れる」ことがないのです。
放置すれば、貧富の差は、勝手に広がっていきます。
そのため、政府が税金で、富の再分配をするべきなのです。