今回は、金利も景気について書いていきます。
経済学では、「金利を下げたら、景気が良くなる」というように習うのが普通です。
しかし、日本の場合、金利を下げても、景気が良くなっていきません。
なぜなのでしょうか?
みていきます。
経済学で勉強すること
今回の記事では、経済学で勉強することと、現実世界で起きることの違いに注目します。
そのため、まずは、経済学で勉強することについて説明します。
経済学で、一般的とされている常識は、「金利を下げれば、景気が良くなる。金利を上げれば、景気が悪くなる」というものです。
金利は、日本銀行が操作しています。
もし、「日本の景気をもっと良くしたい」と考えたら、金利を下げるのです。
では、金利を下げると何が起こるのか見ていきます。
銀行が金利を下げれば、お金を借りたい企業は、銀行から、お金を借りやすくなります。
なぜなら、お金を返す時に、あまり増やして返す必要がないからです。
企業は、どんどん銀行からお金を借りるようになります。
そして、そのお金で新しい設備を買ったり、働く人を増やしたり、新しいお店を作ったりします。
そして、さらに商品が売れるようになり、お金が回るので景気が良くなるのです。
景気が悪くなっていると、日銀は、景気を良くするために金利を下げます。
金利を下げるのは景気をよくするためなのです。
もっと具体的な話をすると
銀行の金利が下がると、住宅ローンの金利も下がります。
すると、家を買う人は「とても負担が軽くなる」と感じます。
負担が軽くなると、お金を借りる量を増やして、予定していたよりもう少し大きい家を手に入れることもできます。
月々の返済額は収入の2割以下が原則です。
金利が低くなると、低くなった分だけ毎月の返済金額が少なくなるので、借りることができる金額が増えます。
家を買う人が増えると、ついでに、キッチンや家具や庭のデコレーションなどを買う人も増えます。
すると、家電屋さんや家具屋さんの商品がもっと売れるようになります。
企業も、予定していた買い物を前倒しで行います。
コピー機やレジの機械など、必要な設備を買います。
すると、コピー機などを作っている機械メーカーは儲かります。
また、機械メーカーは、より多くの機械を作るために、人を雇います。
その会社で働いている人たちの給料は増え、給料をもらった人たちは、たくさん買い物をします。
こうして、個人の消費が増えていきます。
これが、金利を下げることによって得られる効果です。
今の日本
しかし、今の日本は金利が低いのに、景気が良くなりません。
その理由は、企業はお金を持ってるのに、設備投資もしないし、従業員の給料も増やさないからです。
もし、企業にお金がなければ、銀行の金利が下がったタイミングで「お金を借りよう」となります。
しかし、今の日本の企業は、これまでに稼いだお金を自分で溜め込んでいます。
企業のお金は余っているのです。
日本の企業の場合、お金が余っているため、銀行の金利が下がっても、何も変化が起きないのです。
低金利のデメリット
日本は低金利が続いています。
本来なら、低金利が続けば、景気が良くなるはずです。
しかし、低金利には、デメリットがあります。
それは、本来なら潰れてるはずの会社が生き残ってしまうことです。
ほぼ金利ゼロでお金が借りられるため、業績が悪い会社も残り続けてしまいます。
このような会社は、少しでも金利が上昇し始めたタイミングで、バタバタと倒れる可能性が高いです。
日本の問題
日本の問題は「お店を大きくするお金がないこと」ではなくて「お店を大きくしても、売れる見込みがないこと」です。
お店を大きくしても、お客さんが少ないので、商品が売れることが期待できないのです。
企業は、お金を使わずに、持っているだけです。
そのため、経済が回らず、景気が良くなりません。
つまり、今の日本で、金融政策の効果がなくなってしまっているのです。
そもそも、金融政策とは、人々が「早めに買い物をする」という効果を得られる政策です。
銀行の金利が下がると、「今のうちに買い物をしないといけない」という気持ちになります。
早めに古い機械を捨てて、新しい機械を購入します。
早めに新しい機械に切り替えているのです。
つまり、将来、予定していた買い物を「今する」というだけで、繰り上げるだけなのです。
つまり、その分だけ未来の買い物は減ります。
これは、長い目で見れば、消費(買い物する量)が増えているわけではなりません。
消費を前倒ししてるだけです。
今、買った分、後で買わなくなるのです。
一方で、財政政策は、新しいお金を生み出します。
財政政策を行えば、仕事をもらう人が増えて、その人たちは給料をもらいます。
道路を作るにしても、これまでなかった新しい仕事を作り出すってことだ
だから、国民にお金が行き渡るのです。
日本銀行が、利上げできない理由
ここまで、低金利では日本の景気を良くすることができない事について話しました。
それでは、日本銀行は、なぜ金利を上げないのでしょうか?
その理由を説明します。
ちなみに、金利を上げることを「利上げ」と言います。
日本銀行が利上げできない理由は、2つあります。
一つ目に、景気が冷え込んでいるからです。
買い物をする人が減っていて、景気が悪いので
もし、今の状況で利上げを行うと、今までギリギリで生きてた会社が、バタバタと倒れる可能性があります。
二つ目に、悪いインフレが起きているからです。
インフレには、「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。
「良いインフレ」は、商品を買いたいお客さんが多くて、商品が良く売れる時におきます。
一方で、「悪いインフレ」は、輸入品の値段が上がり、原材料のコストが高くなることで起きるインフレです。
今は、悪いインフレが起きているので、利上げしようがないのです。