ハイエクが小さな政府を主張した理由とは?イラストでわかりやすく解説

ハイエク
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「大きな政府か?小さな政府か?」という議論があります。

大きな政府とは、人々の平等を大切にする考え方です。

一方で、小さな政府とは、選択の自由を大切にする考え方です。

ハイエクは、小さな政府に賛成しました。

どんな考え方をしていたのでしょうか?見ていきます。

大きな政府のデメリット

大きな政府では、平等を大切にします。

その極端な考え方の一つは計画経済です。

ハイエクの時代は、計画経済というものが多くの人から支持されていました。

計画経済とは、国民が平等に豊かになることを目指す経済です。

計画経済を実施すると、貧富の格差がなくなると考えられています。

計画経済では、国民の必要なものを国が計画して、配給する時もあります。

たとえ建前では「国民が好きなものを買っていい」というルールになっていたとしても、政府の支配は強力になります。

なぜなら、計画経済では、政府がどの商品を作るかを決めるからです。

もし、計画経済が始まって、生産する会社が1つだけになってしまったら、大変です。

その商品が嫌でも、お客さんは、それを買うしか選択肢がなくなってしまうからです。

また、何をどんな条件で供給するかの決定権を政府が握ることになります。

さらに、それをどの地域の誰に分配するのかも政府が決めます。

政府がその気になれば、国民を相手に、差別をするかもしれません。

このように、政府という一部の人間にチカラが集まりすぎてしまう計画経済は、危険な仕組みなのです。

ハイエクは、全てをリーダーの直感に任せる経済は、怖いと考えています。

それに、計画経済では、国民が何を手に入れるべきかは、政府が決めます。

好きなものを買えなくなったり、好きじゃないものを買わなきゃいけなくなります。

しかも、その政府が決めたことを拒む方法がありません。

結局は、国民が消費するもの、ほとんど全てを、政府が支配することになります。

これでは所得の使い道を直接命令するのも同じことであると、ハイエクは言います。

小さな政府のメリット

ハイエクは、小さなの方が色々とうまくいくと考えています。

その理由は、権力が分散するからです。

小さな政府では、競争を大切にします。

競争経済では、選択の自由があります。

どの商品を買うかは、国民が選ぶことができます。

商品が気に入らなければ、別の会社の商品を買うことができます。

競争経済では、モノの値段が、不当に高くなることはありません。

なぜなら、お店の人が意地悪で、商品を高く売ろうとした時は、お客さんは、別のお店を使うようになるからです。

社会主義の危険性

大きな政府と呼ばれている考え方の一つに「社会主義」というものがあります。

社会主義の理念は、平等です。

この目標のために、民間企業の廃止、生産手段の私有禁止、計画経済の導入をします。

社会主義の国では、人々は自分がお金を稼ぐために働くのではなく、政府の命令に従って働くようになります。

地球の限りある資源を大切にするために、政府が中央で管理しながら「人類が必要な分だけ」商品を作るようになります。

この社会主義が人気になった理由は、人々が「人類の問題は手際良く片付けたい」と考えているからだ、とハイエクは言いました。

また、人々は「未来を見越した上で計画するべきだ」と考えがちです。

そのため、経済経済を行う社会主義は完璧な仕組みだ、と思われているのです。

しかし、ハイエクは、社会主義が広まれば、努力できる人がいなくなると主張しています。

唯一の雇い主が国家であるような国では、反抗すれば、嫌われて飢えて死ぬことになるかもしれません。

「働かざるもの食うべからず」という昔の言葉は、社会主義では、「従うざるもの食うべからず」になります。

私たちはみんな、まずは自分の利益を大事にします。

自分に利益がないことを一生懸命に、頑張れる人は少ないです。

政府のために、自分の利益にならないことを一生やり続けることができるのは、一部の人だけです。

少なくとも大多数の人は、何らかの自分のメリットがない限り、全力を尽くそうとはしません。

この意味で「頑張ればお金が稼げる」というシステムの中で働く方が、人々のやる気を引き出すことができます。

そのため、ハイエクは資本主義に賛成しました。

資本主義では、不運のせいで、会社をクビになってしまう人もいます。

しかし、もしみんなに平等を与えてしまうと、みんなが頑張らなくなってしまうと、ハイエクは考えます。

平等の環境では、モチベーションを与える方法は、体罰を与えたり、痛みを与えたりすることぐらいしかありません。

資本主義では、最後の手段は差し押さえであり、怠けていても、お金がなくなるだけです。

一方で、社会主義の最終手段は首吊りだとハイエクは言います。

政府という一部の人が考えた計画を実行するために、この権力が使われることになるのです。

それはあまりに危険なので、資本主義の方がマシだとハイエクは考えています。

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