フリードリヒ・ハイエクは、資本主義に賛成している経済学者です。
資本主義とは「個人の自由」を大切にする考え方です。
なぜハイエクが資本主義に賛成したのか見ていきます。
資本主義
資本主義とは「個人の自由」を大切にする考え方です。
自分の好きな仕事を選んで働くことができます。
しかし、勝つ人がいれば負ける人もいます。
幸せになれるかは「運」です。
「努力した人が勝つ」というわけではなくて「運がいい人が勝つ」というのいうのが今の社会です。
また、資本主義は、貧富の差が広がりやすい仕組みです。
社会主義
ハイエクの時代は、社会主義がたくさんの人に支持されていました。
社会主義とは「平等」を大切にする考え方です。
そのためには「計画経済」をするべきだと考えられていました。
計画経済とは、みんなが仕事を得られるように、政府が計画をするということです。
みんなが仕事を得られれば、みんなが平等に給料をもらうことができます。
そうすれば、貧富の差は無くなっていきます。
しかし、政府が仕事を割り振るので、人々は、自分の好きな仕事を選べなくなっていきます。
例えば、女性が人力車をひく人になりたいと思っても、女性が男性と同じように働けるかは分かりません。
そのため、夢があるのに、別の仕事をさせられてしまうかもしれません。
社会主義では、個人の情熱はほとんど見てもらえなくなります。
そして、女性か?男性か?力があるか?ないか?など、パッと見で分かりやすいようなもので、職業勝手に決められてしまうのです。
こうすれば、貧富の差は減りますが、人生の幸福度が上がるのかどうか分かりません。
ハイエク
ハイエクは社会主義のやり方に反対しました。
そして「個人の自由を守るべきだ」と考えました。
政府には、貧富の差をなくすという目標があります。
しかし、人にも、それぞれの目標や夢やこだわりがあります。
例えば、個人が給料は安くてもいいから、自由に働きたいとか
残業をいっぱいしてもいいから、たくさん給料が欲しいとか
それぞれいろんな事情があります。
しかし、政府が仕事を割り振るようになったら、その事情を一つ一つ受け止めることはできないだろう、とハイエクは考えました。
資本主義
資本主義は、みんな何でもなれます。
自由競争の環境であれば、例えば女性が人力車を引いたっていいです。
その人に向いてなさそうな職業だったとしても、挑戦することができます。
「向いてないよ」と言われてしまう時はあるかもしれませんが、無視すればいいだけです。
情熱さえあれば、どんな仕事にも挑戦できます。
そして、しばらく頑張ってるうちに、最初は見抜けなかった能力を後から発揮する、ということもよくあります。
しかし、計画経済のように、政府がそれぞれの人の職業を勝手に決めてしまうような状況になったら、どこにも逃げ場がありません。
計画経済が始まると、政府は、仕事を単純化するために、何事にも基準を設けるようになるかもしれません。
そうしたら、みんながその基準に従わなきゃいけなくなります。
そして、個性の違いや、個人の情熱は、意図的に無視されるようになります。
そして、社会の幸福とかというよく分からない曖昧な目標のために、政府の手足となり、単なる道具として生きていくことになるのです。
それに危機感を感じて、ハイエクは『隷属への道』という本を書きました。