日米金利差とは?なぜ円安?日本とアメリカの金融政策の違いを分かりやすく解説

経済学入門

現在、インフレ抑制のため利上げを急ぐアメリカと、金融緩和を続ける日本との間で、金利差が広がっています

何が起きてるのか、よく分からない

という方向けに、最近の円安の動きを、イラストで解説していきます

アメリカの利上げの理由

発端

ことの始まりは、ロシアがウクライナ侵攻したことです

ウクライナ侵攻の影響により、小麦や原油などの価格が、高くなりましました

戦争が起きると、商品を生産しづらくなります

戦争中は、避難しなければいけなかったり、作ったものが壊されたりするので、戦時中は、商品を作ることが難しいのです

小麦が高騰

ロシアがウクライナに侵攻したことにより、小麦の生産量が減りました

そして、小麦をあまり作れなかったため、商品として売る量が少なくなりました

商品の数が減ると、値段が上がります

理由は、高くても売れるからです

ウクライナ情勢をうけ、小麦が減ったため、小麦の値段は、高くなりました

物価が高騰

さらに、小麦と同じように、原油の値段も上がりました

小麦や原油は、いろんな商品の原材料として使われています

もし、原材料の値段が上がると、その原材料を使用している加工品の値段も上がります

つまり、小麦が値上がりしたことで、小麦粉もパンも、サンドイッチも値上がりするのです

こうして、いろいろな商品が値上がりするようになりました

モノの値段(物価)が上がり続けることを、インフレと言います

物価が上がるということは、国内でお金が回りすぎてるということです

お金が回りすぎてしまうことは、問題なのです

お金が回りすぎてしまうことの問題点は、人々がパニックになりながら、買い物をしなければいけなくなることです

もし、「今日よりも明日の方が値段が高くなる」と分かっていたら、誰もが急いで買い物をします

そうして、奪い合うようにしてお店の商品を買い占めるようになったら、パニックになってしまいます

世の中にお金が多すぎると、お金が回りすぎてしまって、パニックが起きてしまうので、良くないのです

また、値上がりが続くと、国民にとっては、出費が増えるので、しんどいです

そのため、そんな時は、中央銀行が、国内に出回るお金を減らしてあげることが大切なのです

アメリカの利上げ

2022年3月、アメリカは、国内のお金が回りすぎていることに危機を感じました

そのため、アメリカは、お金の回りすぎを抑えるために利上げを決定しました

金利を上げると、物価が下がります

そのため、物価を下げたいのなら、金利を上げれば良いのです

利上げとは

ここで、利上げについて、説明していきます

利上げとは、中央銀行が行う政策です

まず、中央銀行とは、各国に1つずつある銀行です

日本の中央銀行の名前は「日本銀行」です

また、アメリカの中央銀行の名前は「FRB」です

それぞれの中央銀行が、各国の金利を決めています

「利上げ」とは、中央銀行が金利を引き上げることです

金利と呼ばれるものは、2つあります

中央銀行と銀行との間の「金利」と

銀行と個人との間の「金利」です

利上げは、中央銀行と銀行の間の話です

中央銀行の金利は、銀行の金利に影響を与えます

そのため、中央銀行が、中央銀行の金利を上げると、銀行の金利もつられて上がるのです

金利をあげると、国民は、「銀行からお金を借りたくない」と考えるようになります

金利が高くなるとお金を借りたくなくなる理由は

金利が高い時に、お金を借りると、たくさん返す必要があるからです

お金を借りて、返す時は、利子をつけて返す必要があります

利子とは、「追加で払うお金」です

金利が高いと、お金を返す時に利子が多いです

そのため、金利が高い時に借りると、損なのです

金利が高い時は、国民は、「お金を借りよう」と思わなくなります

お金を借りる人が減ると、国内のお金の量が減ります

お金を借りる人は、お金を借りて買い物をします

しかし、お金を借りなかったら、買い物をしません

買い物をする人が減るということは、国内でお金が回らなくなるということです

つまり、金利を上げることで、景気の過熱を抑えることが期待できるのです

金融引き締め

利上げと、金融引き締めは、だいたい同じ意味だと捉えても問題ないと思います

両方とも、「国内のお金の供給量を減らす」という意味では、同じだからです

金融引き締めとは、国内に供給するお金の量を減らすことです

国内のお金の量を減らすことで、インフレを抑えることができるのです

アメリカは、金融引き締め(利上げ)をすることで、インフレをストップさせました

日本の対応

一方で、日本では、どのような対応がされているのでしょうか?

日本の中央銀行は日本銀行です

日本銀行は、2020年8月時点では、金融引き締めをしないと考えています

なぜなら、金融引き締めには、デメリットがあるからです

金融引き締めのデメリットとは、世の中のお金が回らなくなることです

世の中のお金が回らないということは、不景気になるということです

金融引き締めをすることで、不景気になりやすくなる理由は、買い物をする人が減るからです

金融引き締めとは、国内のお金の供給量を減らすということです

つまり、国民のお財布の中のお金が少なくなるということです

もし、お財布の中のお金がいつもより少なかったら、国民は買い物を控えるようになります

買い物をする人が減るので、お店も儲からなくなります

お店が儲からないので、そこで働いている人の給料も減ります

このように国内のお金を減らすと、不景気になりやすいのです

金利差とは?

今まで見てきたように、日本とアメリカは金融政策に方向性の違いがあるため、金利差が生まれています

金利差って、どうゆう意味?

日米金利差とは、アメリカの金利と、日本の金利に差があるということです

その仕組みについて説明します

まず、金融引き締めとは、金利を上げることです

一方で、金融緩和とは、金利を下げることです

このギャップが、金利の差です

アメリカが金融引き締めをする一方で、日本が金融緩和をしているので、金利差が発生したのです

コロナ後の経済を振り返る

あらためて、コロナ後の日米の経済の動向を振り返っていきます

コロナになってから、日本もアメリカも、不景気が続いていました

不景気の時は、モノを安くしないと売れないため、モノの値段は下がります

そんな状態を改善するために、アメリカも日本も金融緩和をしました

金融緩和とは、国内のお金を増やすことです

国内のお金が増えれば、物価が上がりやすくなります

その結果、日本もアメリカも、物価が上昇しました

ここまでは、日本もアメリカも似ています

しかし、物価が上がりすぎてしまった後の対応に、方向性の違いがあります

まず、アメリカでは金利引き上げが実施されました

アメリカのFRBは、「物価の上がりすぎ」を抑えるための政策をおこないました

一方、日本銀行は金融緩和を続けています

つまり、日本銀行は、物価が上昇していくのを「見守ってる」だけの状態です

このように、日本とアメリカは、物価の上昇に対して、対応に差がおきています

円安

日米の金利差が拡大したために、日本は円安になりました

金利差があると、円安になります

その理由は、アメリカの金利が高い時は、ドルで資産を運用する投資家が増えるからです

金利が高いということは、もらえる利子が多いということです

 

ドルを運用するためには、「円を売って、ドルを買う」必要があるので、たくさんの人が円を売っています

そして、ドルを欲しがる人が増えたので、ドルの価値があがりました

ドルの価値が高いことを、「ドル高」といいます

また、ドルの価値が上がったので、相対的に円の価値は下がりました

円の価値が下がることを、「円安」といいます

このように、日米の金利差が広がったことで、円安が加速しました

タイトルとURLをコピーしました