公共事業は、いつでも上手くいくわけではありません。
上手くいかない時もあります。
上手くいかない例の1つは、クラウディングアウトです。
クラウディングアウトとは
クラウディングアウトとは、政府がお金を使うことで、国民がお金を使わなくなることです。
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クラウディングアウトの意見を言ったのは、フリードマンです。
フリードマンは、ケインズに反論を言うために、クラウディングアウトの話をしました。
この記事では、まず、ケインズの意見から見ていきます。
ケインズの意見
ケインズは、景気が悪い時は、公共事業を増やすと、景気が良くなると考えました。
公共事業とは、政府が、橋の建設といった公共事業などを増やすことです。
公共事業とは、公園や水道や、道路や橋などの、みんなが使うものを作ることです。
公共事業をする理由は、まず、水道や道路などが必要だからです。
しかし、それだけではありません。
公共事業をするのは、失業者を労働者に変えることができるからです。
公共物を作るときには、働く人が必要です。
そのため、国内にいる失業者に「働く場所」を提供することになります。
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公共事業を行うと、建設資材の売り上げが増えます。
また、作業をする人の雇用も増えます。
雇用が増えるということは、働きたくても働けなかった人たちが、働けるようになるということです。
つまり、公共事業をすると、失業者が労働者になります。
労働者になるということは、その人が毎日、給料をもらうようになるということです。
給料をもらったら、その人は買い物をします。
だから、経済が回るようになります。
公共事業をおこなうと、景気が良くなるのです。
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公共事業を行うことを、「政府の支出を増やす」という言い方をすることもあります。
政府の支出とは、政府がお金を使うことです。
政府の持っているお財布のことを財政と呼びます。
財政から、お金を使うことを支出と言います。
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政府が支出を増やす理由は、(例えば)公共事業をするためです。
政府が公共事業をすると、働いてる人たちは、給料をもらうことができます。
働いた人たちは、そのお金で、買い物をするので、経済を回します。
このように、財政政策は、景気を良くする効果があるのです。
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ケインズは「公共事業をすることで、景気を良くすることができる」と主張しました。
このように、景気を良くする方法が見つかったことは、画期的なことでした。
そして、多くの人々は、ケインズに信頼を寄せました。
彼らは、「ケインジアン」と呼ばれるようになりました。
フリードマンの意見
しかし、ケインズの考え方に反論した人がいます。
それが、フリードマンです。
フリードマンは、ケインズのやり方では、景気を良くすることはできないと考えました。
その理由は、クラウディングアウトが起きるからです。
クラウディングアウトとは、政府支出が増えると、民間投資が減る現象です。
なぜ、民間投資が減るのでしょうか?
見ていきます。
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公共事業には、お金が必要です。
政府は、国民から集めた税金を使います。
まず、公共事業をするには、お金が必要です。
基本的には、公共事業のお金は、税金が使われます。
税金とは、国民から集めるお金です。
しかし、景気が悪い時に、国民的から税金をたくさん集めると、国民が大変な思いをします。
そのため、税金以外の方法で、お金を集めようとします。
それが、国債です。
お金が足りない時は、国債を発行します。
国債で集めたお金を使って、公共事業を行うのです。
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国債とは、銀行からお金を借りるために発行する紙です。
政府は、国債を発行して、銀行からお金を借ります。
国債とは、国の借金です。
借金を発行することで、足りないお金を補うのです。
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国債を発行する理由は、国債を発行すると、政府のお金が増えるからです。
公共事業に必要なお金を用意するために、国債を発行しなければならないのです。
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しかし、国債を大量に発行すると、金利が上昇してしまいます。
金利
金利とは、利子の大きさを表す数字のことです。
政府は、国債を買ってくれた人に利子を払います。
国債を売るというのは、お金を借りることと同じです。
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お金を借りた時は、定期的に利子を払うのが社会のルールです。
政府は、国債を買ってくれた人に、定期的に利子を払っているのです。
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これを、国債を買った人の立場から考えていきます。
国債を買った人は、定期的に利子をもらえます。
「国債を買うこと」は、「お金のなる木を買うこと」と似ています。
国債を買う立場から考えると、国債を一度買えば、定期的に、お金が手にはいります。
定期的に手に入るお金のことを、利子と言います。
国債を買った人にとっては、利子をたくさんもらえると、嬉しいです。
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国債を買う人とは、投資家や銀行です。
政府は国債を発行して、投資家や銀行に売っています。
利子が大きい方が、国債はよく売れます。
国債の金利が上昇する
政府は、国債を売りたい時、利子を大きくします。
なぜなら、利子が大きい国債の方が、よく売れるからです。
つまり、国債の金利は高くなります。
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国債の金利が上昇する理由は、金利を高くしないと売れないからです。
金利を高くすれば、国債を買ってくれる投資家が増えます。
そのため、国債を大量に発行すると、国債の金利が上昇します。
銀行のお金が減る
国債の金利が上昇すると、銀行のお金が少なくなります。
銀行からお金を借りているのは、政府や民間企業です。
政府と民間企業は、銀行のお金を奪い合う関係にあります。
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政府が国債を発行するということは、政府が銀行からお金を借りるということです。
国債を発行すると、政府が銀行のお金を大量に借ります。
そのため、銀行にあるお金が減ります。
政府が銀行からお金を借りると、銀行のお金が少なくなるのです。
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銀行には、無限にお金があるわけではありません。
銀行のお金の量には、限りがあります。
そのため、政府がたくさんお金を借りると、銀行のお金が減ります。
銀行にあるお金が少ない時は、銀行は、あまりお金を貸せなくなります。
銀行の金利が高くなる
政府が銀行からたくさんのお金を借りると、銀行の金利は、高くなります。
なぜ、銀行の金利が高くなるのでしょうか?
その理由を考えるために、この状況を、銀行の立場から見てみます。
銀行には、2つの選択肢があります。
政府にお金を貸す(国債を買う)か、民間企業にお金を貸すかです。
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銀行はお金を貸すことで、儲けています。
より儲かる方にお金を使います。
銀行は、高い金利でお金を貸すと、儲けることができます。
銀行は、より高い金利でお金を貸したいです。
なぜなら、高い金利でお金を貸すと、たくさん利子が手に入るからです。
そのため、銀行は、高い金利でお金を借りてくれる人に、お金を貸します。
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それでは、国債の金利が高くなった場合を考えていきます。
国債の金利が高くなるということは、政府が高い金利で銀行からお金を借りるということです。
この状況の時、銀行は、喜んで政府にお金を貸します。
つまり、銀行が国債を買います。
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こうなると、民間企業も、お金を借りるために、同等以上の金利を払わないと、借りれなくなります。
民間企業も、高い金利を銀行に払わなければいけなくなるのです。
それでも、銀行からお金を借りたい民間企業は、高い金利で借りようとします。
安い金利で、お金を借りれなくなってしまうのです。
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さらに、銀行の金利が上がる理由がもう1つあります。
それは、銀行のお金の量が少なくなるからです。
もし、政府が銀行からお金をたくさん借りたら、銀行のお金は、政府のお金になります。
これは、「銀行のお金が政府に吸収される」という表現の仕方をすることもあります。
政府のお金が増える代わりに、銀行のお金が減るのです。
すると、銀行にあるお金の量は少なくなります。
銀行のお金の量が少なければ、銀行のお金を奪い合うことになります。
金利は、貸したい人の数と、借りたい人の数のバランスで決まります。
金利が高くても、お金を借りてくれる人がいる時は、銀行は、金利を高くしてしまいます。
そのため、銀行の金利が上昇します。
国債の金利が上がると、それにつられて、銀行の金利も上がるのです。
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さらに、銀行の金利が上がると、預金をする人が減ります。
その理由は、国民にとって、銀行にお金を預かるより、国債を買う方がお得だからです。
国債を買うのは、銀行だけではありません、
国民も、国債を買います。
金利が高い国債は、国民も買いたいです。
国民には、国債を買うか、銀行にお金を預けるかという選択肢があります。
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たしかに、銀行にお金を預けると、銀行から利子をもらうことができます。
しかし、国債の金利の方が高いなら、国債を買った方がお得です。
国民は、銀行に預けているお金を引き出して、国債を買います。
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このようにして、銀行のお金は、どんどん減ってしまいます。
銀行のお金が減っている時は、銀行にとっては「もっとお金を預けてほしい」と考えるようになります。
もっと銀行のお金を増やしたい時は、銀行は、金利を高くします。
なぜなら、銀行の金利が高い時、銀行にお金預ける国民が増えるからです。
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銀行がお金を集めたい時は、銀行の金利を、国債の金利と同じくらいにします。
こうして、銀行の金利が上がるのです。
民間投資
銀行の金利が上がると、民間投資が減ります。
その理由は、銀行の金利が高いと、銀行からお金を借りづらいからです。
まず、民間投資とは、民間企業が銀行からお金を借りて、買い物をすることです。
民間企業が行う買い物とは、工場を大きくしたり、便利な道具を買ったりすることです。
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つまり、何かにお金を使って、もっと稼ごうとする行為のことです。
新しい道具を買うと、より効率的に働けるようになるので、さらに儲かるようになります。
儲かるために、道具を買うのが、民間投資です。
例えば、パン屋さんなら、新しいオーブンを買ったり、ミキサーやボールなどを買うことが、投資になります。
銀行は、民間企業にお金を貸しています。
民間企業の経営者は、自分のビジネスを大きくしようと考えています。
自分のビジネスを多くするために、投資が必要です。
投資のためにはお金が必要です。
そのお金を、銀行から借ります。
民間企業がお金を借りて、民間投資を行うと、道具を売った人も儲かるし、道具を買った人も、効率的に働けて儲かりやすくなります。
誰かが民間投資をすると、他の誰かが儲かるのです。
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しかし、金利が上がってしまうと、民間投資は減ってしまいます。
なぜなら、金利が高い時にお金をかりると損だからです。
民間企業は、できるだけ低い金利でお金を借りたいと考えています。
なぜなら、高い金利でお金を借りてしまうと、利子を払う負担が大きいからです。
民間企業は、銀行からお金を借りると、銀行に利子を払う必要があります。
金利が高くなると、利子をたくさん払う必要があります。
お金を借りる人にとって、たくさんの利子を払うことは、大変なことなのです。
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金利が高い時期は、民間企業は、お金を借りずに金利が低くなるのを待ちます。
つまり、金利が高い時期は、お金を借りません。
そして、民間投資もしません。
銀行の金利が上がると、設備投資は減るのです。
設備投資が減ると、お金が経済活動に使われなくなります。
民間投資が減ると、景気が良くならないのです。
金利が高くなると、民間企業は、銀行からお金を借りなくなります。
お金を借りる人が減ると、民間投資が減ります。
民間投資が減ってしまうため、景気が良くならないのです。
せっかく景気をよくするために、政府の支出を増やしたのに、民間投資が減ったのです。
これが、クラウディングアウトです。
クラウディングアウトが起きると、景気は良くなりません。
景気を決めるのは、GDPです。
GDPの内容は、4つです。
①個人消費支出
②設備投資
③輸出入
④政府支出
この合計がGDPとなります。
景気が悪い時は、政府は、④を増やすことで、景気を良くしようとしてきました。
しかし、④を増やすほどに、②が減ってしまいます。
④を増やしても、②が減れば、トータルで見た時に、意味がないのです。
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クラウディングアウトとは
クラウディングアウトとは、政府が大量に銀行からお金を借りるので、民間企業がお金を借りれなくなってしまうことです。
政府支出の増加には、民間投資を抑えてしまうマイナスの効果もあるのです。
「クラウディングアウト」とは「押し出す」という意味です。