ケインズとフリードマンの考え方の違いをピックアップしました。
それぞれ解説していきます。
世の中のお金を増やす
まず、世の中のお金を増やすことについてです。
ケインズは、世の中のお金を増やすことで、失業者が減ると考えました。
もし、世の中のお金が増えたら、国民が持ってるお金の量が増えます。
すると、国民はいつもより多くの買い物をします。
たくさん買い物をする人がいると、商品の奪い合いが起きて、商品が高くても売れるようになります。
これは、お店側から見ると、儲かるということです。
お店は、儲かったら新しい従業員を雇う余裕が出てきます。
人が雇用されるので、失業者は、労働者になります。
このようにして、世の中のお金が増えることで、失業者が減ると、ケインズは考えました。
一方で、フリードマンは、別の考え方をしています。
世の中のお金を増やすと、確かにお店の商品の値段が高くなります。
ここまでは、ケインズとフリードマンは同じ考え方です。
しかし、フリードマンは、「商品が高くなったら、お客さんが減る」と考えました。
お客さんは、高いモノが好きじゃありません。
商品が値上げされたら、買い物をしなくなるはずなのです。
お客さんが買い物をしなければ、お店側は「もっと商品を作ろう」と考えません。
そのため、人を雇うこともありません。
このような考え方をしているため、フリードマンは、物価が上がっても、失業者は減らないと考えました。
ケインズは、世の中のお金が増えると、失業者が減ると考えた一方で、フリードマンは、世の中のお金を増やしても、インフレになるだけで、失業者は減らないと考えました。
インフレ・デフレ
ケインズとフリードマンは、インフレ・デフレが起きる理由についても考え方が違います。
ケインズは、インフレ、デフレは、国にどれくらい失業者がいるのかで決まると考えていますが、
フリードマンは、インフレ、デフレは、国にどれくらいお金があるのかで決まると考えています。
まず、ケインズの考え方についてです。
ケインズは、インフレの時は国に失業者が多く、デフレの時は国に失業者が少ないと考えています。
インフレの時は、商品が高く売れるということです。
商品が高く売れるなら、会社が儲かります。
そして、従業員にたくさん給料を払えます。
そして、商品が高く売れるうちに、もっと商品をたくさん売ろうと考えて、新しい従業員を雇います。
つまり、インフレになると、働き口が増えるのです。
逆に、デフレの時は、失業者が増えると、ケインズは考えています。
なぜなら、デフレとは、商品を安くしないと売れない状態だからです。
商品を安くしないと売れない時は、お店が儲かりません。
つまり、従業員に賃金が払えなくなり、クビにしないといけなくなるのです。
こうして、クビになる人が現れます。
一方で、フリードマンは、インフレ・デフレは、国の中にお金が多いかどうかで決まると考えています。
国の中にお金が多い時は、物価が上がります。
そして、賃金も上がります。
一方で、国の中にお金が少ない時は、物価も下がるし、賃金も下がります。
インフレ・デフレの調整
次に、インフレとデフレをいかに調節するかについてです。
ケインズは、インフレとデフレを操作するには、有効需要を調整したらいいと考えました。
一方で、フリードマンは、インフレとデフレを操作するには、世の中のお金の供給量を調整したらいいと考えました。
まず、ケインズの考え方についてです。
ケインズは、物価を上げるには、有効需要を増やしたらいいと考えました。
有効需要とは、「欲しいという気持ち」と「お金」がある状態です。
景気が悪い時は、国民は「欲しいという気持ち」はありますが、「お金」がありません。
そのため、国民に「お金」を与えることで、有効需要が増えます。
お金を得た国民は、買い物をします。
買い物をする人が増えたら、物価が上がるのです。
一方で、デフレの時は、逆のことをします。
国民のお金を減らすために、増税をしたり、公共事業を減らしたりするのです。
一方で、フリードマンは、インフレ・デフレは世の中のお金の量を調整すればいいと考えます。
まず、世の中のお金の量を変化させない場合、自動的にデフレになります。
なぜなら、世の中のモノの量は増えているからです。
そのため、モノの量が増えるスピードに合わせて、お金の量を増やしてあげる必要があるのです。
しかし、お金を増やしすぎるとインフレになるので、注意が必要なのです。
失業者
次に、失業者についてのケインズとフリードマンの考え方の違いについてです。
ケインズは、需要不足だから、失業者が現れると考えましたが
フリードマンは、働きたいのに働けない人なんていないと考えました。
ケインズが生きていた時代は、世界恐慌が起きていました。
4人に1人が失業者だったのです。
そのためケインズは、働き口を増やすことが必要だと考えました。
一方で、フリードマンは、失業者は働きたくないだけだと考えます。
だから、働き口を増やしたとしても、失業率は、元の水準に戻ると考えました。
財政政策
次に、財政政策に対する考え方の違いについてです。
ケインズは、財政政策をすることで、国民の所得が増えたら、買い物する人が増えると考えました。
一方で、フリードマンは、所得が増えたら、物価も上がるから、買い物する人は増えないと考えました。
まずは、ケインズの考え方についてです。
財政政策をするということは、働き口を増やすということです。
働き口が増えれば、失業者は働きやすくなります。
そして、失業者が労働者になることで、彼らの所得が増えます。
労働者は、給料をもらったら買い物をします。
こうして景気が良くなるのです。
一方で、フリードマンは、違う考え方をしています。
国民の所得が増えて、国民が買い物をするようになると、モノが高くても売れるようになります。
そして、物価が上がります。
そのため、買い物する人は減ります。
だから、財政政策は無効だとフリードマンは考えます。
裁量的な金融政策
次に、裁量的な金融政策についての考え方の違いについてです。
裁量的とは、状況に合わせながら景気の舵取りをすることです。
その場その場で考えて、臨機応変に対応することを、裁量的な金融政策と言います。
ケインズは、裁量的な金融政策に賛成です。
ケインズは、お金が借りやすくなったら、投資が増えると考えています。
お金が借りやすくなれば、設備投資をしやすくなります。
設備投資とは、例えば、パン屋さんが、オーブンを買うなどのことです。
景気が悪い時は、お金を借りやすくすることで景気を改善できるとケインズは考えています。
一方で、フリードマンは、それは貨幣錯覚だと考えます
世の中のお金が増えて、設備投資が増えるのは、短期的な話です。
貨幣錯覚がある間は、設備投資が増えるかもしれません。
しかし、物価が上がれば、お客さんは減ります。
そしたら、設備投資も減るのです。
理想的な金融政策
それでは、理想的な金融政策とは、どんな政策なのでしょうか?
ケインズは、裁量的な金融政策が良いと考える一方で、フリードマンは、ルールを設けるべきだと考えます。
まず、ケインズの考え方についてです。
ケインズは、総需要を適切に管理するように貨幣供給を操作するべきだと考えました。
ケインズは、国のお金をじゃぶじゃぶ増やすと、景気が良くなると考えています。
そして、国のお金を減らすと、景気の過熱を止めることができると考えています。
一方で、フリードマンは、国の経済成長に合わせて、貨幣供給を一定率にした方がいいと考えます。
富の再分配
最後に、富の再分配をする方法についてです。
富の再分配とは「お金があるところから取り、ないところへ配ること」です。
ケインズは、フィスカル・ポリシーを主張した一方で、フリードマンは、ビルトイン・スタビライザーを主張しました。
フィスカルポリシーとは、景気の状況に応じて、税の増減や公共事業への支出の増減などをすることです。
「フィスカルポリシー」=「裁量的財政政策」です。
一方で、フリードマンは、ビルトイン・スタビライザーを主張します。
これは、政府の裁量ではなく、自動的に景気を安定させる仕組みのことです。
ビルトイン・スタビライザーの具体例として、累進課税や社会保障制度があげられます。
累進課税とは、お金持ちからお金をたくさんとって、貧しい人からはあまり税に取らない方法です。
言い換えると、低所得者には、低い税率を
高所得者には、高い税率を適用するということです。
また、社会保障制度とは、失業者に対して失業保険を支払ったり、怪我や病気、出産、障害など、生活に困ってる人にお金をあげる制度です。
フリードマンは、政府の裁量ではなく、自動的に景気を安定させる仕組みが必要だと考えました。