賃金を高くすべき
「賃金を高くすべきだ」と主張したのは、ケインズです。
ケインズは、財政政策をすることで、国民の賃金を高くするべきだと考えました。
財政政策を行うと、公共施設を作るために働いた人が、十分な賃金をもらいます。
財政政策をすると、建築業者の人の賃金が高くなるのです。
そして、一部の国民の賃金が増えることで、その周りの人たちの賃金も増えるという考え方があります。
それを乗数効果と言います。
賃金をもらった人は、買い物をします。
いつもより多くの賃金をもらうと、いつもより多く、買い物をします。
誰かが買い物をすると言うことは、儲かる人がいると言うことです。
例えば、お弁当を買えば、お弁当屋が儲かります。
そして、お弁当屋は、野菜をいつもより多く買うかもしれません、
賃金が増えると、買い物に使うお金の量も増えるのです。
こうして、みんなの賃金が増えるので、失業者が減っていきます。
お店が儲かれば、お店は「もっと労働者を増やして、商品をたくさん作れるようにしよう」と考えます。
モノがたくさん売れると、お店が儲かり、労働者に十分な賃金を払うことができます。
モノがたくさん売れると、働く場所が増えるのです。
ケインズは、モノの値段が上がって、賃金が上がることで、失業者が減ると考えました。
ケインズの考えでは、賃金が上がることで、失業者が減るのです。
賃金を高くしても意味ない
しかし、フリードマンは、賃金を高くしても意味がないと考えました。
フリードマンが主張したのは、自然失業率仮説です。
自然失業率とは「働きたいのに働けない人はいない」状態のことです。
つまり、失業者がいたとしても、その人は働きたくないだけなのです。
働きたくない人ことを、自発的失業者と言います。
自発的失業者は、安い賃金では働きたくないと考える人のことです。
自発的とは、「自分から思い立つ」という意味があります。
そのため自発的失業者とは「自分から失業者でいることを選ぶ」と言うことです。
フリードマンは、長期的には、インフレ率と失業率は、関係ないと考えました。
確かに、モノの値段が上がると、賃金が上がり、短期的には、失業者が減ります。
なぜなら、景気が良くなって、モノの値段が上がると、企業は、人を雇って、さらにたくさんの商品を作ろうとするからです。
しかし、モノの値段が上がって、しばらくすると
労働者は、周囲の物価が上がってることに気がつきます。
そして、労働者は周囲の物価上昇分に見合うだけの賃上げを求めるようになります。
そのため、会社側も、賃金を上げようとします。
しかし、会社に十分なお金がないのに、労働者の賃金を上げようとすると、企業の利益も圧迫されます。
そして、誰かをクビにする必要があります。
つまり、結局、失業率は、元に戻ってしまうのです。
フリードマンいわく、賃金が上がると、失業者が増えるのです。
たしかに、物価を上昇させると、賃金を増やすことができます。
しかし、必要以上に賃金を高くするには、働く人を減らす必要があるのです。
フリードマンは、自然失業率仮説を唱えて、ケインズ学派の理論を批判しました。